ピエゾピックアップの特徴とアンダーサドルタイプとコンタクトマイクの違い

2015年10月8日

サドルの下に仕込むアンダーサドルタイプと貼り付けて使うコンタクトマイク

現状アコギやクラシックギター、ウクレレなどによく使われるピエゾピックアップには、アンダーサドルタイプコンタクトマイクの二種類があります。

そもそもピエゾピックアップとは、物体を伝わった振動を電気信号に変えるピエゾ素子を使ったピックアップマイク

拾うことができるのは空気の振動ではなく物体を伝わった振動のみなので、楽器など音を拾うための対象と接触している必要があり、その接触方法でアンダーサドルタイプとコンタクトタイプに分かれています。

今回はこのアンダーサドルタイプとコンタクトマイクのピエゾピックアップそれぞれの特徴と違いを解説します。

アンダーサドルタイプの特徴

アンダーサドルタイプピエゾピックアップ

アンダーサドルタイプは、薄い板状のピエゾ素子をサドルの下に仕込んで使う。

アンダーサドルタイプのピエゾピックアップは、ピエゾ素子をサドルの下に仕込んで弦の振動をサドル伝いに拾います。

現状販売されているエレアコ・アレガット・エレキウクレレのほとんどにはこのアンダーサドルタイプが搭載されており、アコギに使われるピックアップとしては最も一般的です。

アンダーサドルタイプのピエゾピックアップ

アンダーサドルタイプピエゾピックの仕込み方

サウンドとしては音の立ち上がりが早く、ソリッドな感触のある硬質なサウンドになる傾向があります。

アンダーサドルタイプのピエゾピックアップを使用する場合、ボディー本体にジャックも取り付けて完全にエレアコ化して使います。

後述のデメリットで挙げますが、サドルの底面を削る弦高調整や取り付けの難易度が高いため、取り付けは楽器店や工房などに頼むのが一般的です。

アンダーサドルタイプのメリット

アンダーサドルタイプのピエゾピックアップの最大の特徴は、その安定性と音を拾う効率の良さにあります。

弦の張力によってサドルとピエゾ素子が密着するため、サドルを伝う弦の振動をダイレクトに拾うことができます。

また、コンタクトタイプのように後で外れてしまう心配がなく、ピックアップそのものに触れてノイズになるようなこともありません。

ピックアップそのものが露出しないため、アコギやウクレレなど楽器の外観に影響しない点もアンダーサドルタイプの特徴と言えるでしょう。

アンダーサドルタイプのデメリット

アンダーサドルタイプピエゾピックアップのデメリットとしては、サドルとブリッジの間にピエゾ素子が入ることによる音色への影響楽器のボディー本体とサドルに加工が必要な点が挙げられます。

本来密着しているはずのサドルとブリッジのサドル溝の底面との間にピエゾ素子が一枚挟まれ振動の伝達が変わるため、生鳴りに影響が出ます。

ただし、この影響の大きさは「 厳密に言えば影響がある 」程度のもの。

実際に楽器を弾いてみてわかるかどうかってレベルのもので、聴衆にはその違いはまずわかりません。

なお、この影響の大きさは楽器本体への加工の精度にも密接に関係しています。

ピックアップ本体のピエゾ素子やケーブルのタイプに合わせて穴の角度などを決める必要もあり、またサドルとピエゾ素子との密着具合も非常に大事。

取り付けは適当にやって音が出ればいいというものではないため難易度は高く、工房や楽器店に依頼した場合それなりに工賃がかかってしまう点もデメリットと言えるでしょう。

また、アンダーサドルタイプの場合穴あけ加工やサドルを削るので一度取り付けてしまったら元に戻せない点も注意が必要です。

コンタクトマイクの特徴

コンタクトタイプのピエゾピックアップ-K&K-Bigshot

コンタクトマイクの場合、丸い部分のピエゾ素子を楽器に貼り付けて使用する。

コンタクトマイクはアンダーサドルタイプとは違い本体に直接仕込むのではなく、対象の楽器のボディーなどに貼り付けて使うタイプのピエゾピックアップマイクです。

アンダーサドルタイプに対しコンタクトタイプピエゾピックアップなどとも呼ばれます。

コンタクトマイクのメリット

コンタクトマイクの特徴として、

・貼り付けるだけで使えるため簡単に脱着が可能で、楽器への加工が不要

・アンダーサドルタイプに限らず、他のアコギ用ピックアップに比べ価格が安価

などが挙げられます。

貼り付けるだけでいいので取り付けも簡単で、楽器本体への加工が不要な手軽さが最大の特徴と言えるでしょう。

また、他のアコギ・ウクレレ用ピックアップに比べ価格も安いため、「 ちょっと必要になったから 」と簡易的に使われることも多いピックアップです。

もちろん他のピックアップ同様アコギ本体に穴あけ加工をしてジャックを取り付け、つけっぱなしにすることも可能です。

アコギやウクレレをエレキ化するときのみならず、はがれさえしなければ打楽器の音を拾うのにも使用可能。

極端な話適当な空き缶などに貼り付けて割り箸を叩くような使い方もできる汎用性の高さを持っています。

アコギやウクレレといった箱もの楽器で使う場合は、ボディートップの裏側で弦の振動を拾いやすいブリッジの真下辺りに貼り付けるのが一般的。

貼り付ける場所によっても音の拾い方が変わるため多少コツは必要ですが、慣れてしまえばそう難しいものではありません。

また、振動であれば全て拾うため、ボディーヒット専用のピックアップとして利用する使い方もあります。

その場合は、叩く部分の裏側に仕込むと効果的にボディーヒット音を拾うことが可能です。

コンタクトマイクのデメリット

コンタクトマイクのデメリットは、

・貼り付け場所によっては音を拾いにくい

・貼り付けが甘いとはがれてしまったり、ビリ付きなどノイズの原因になる

・手など何がものが触れるとその振動が音として出力され、ガサガサといったノイズになる

などが挙げられます。

アコギやクラシックギター、ウクレレに使う場合は、可能であればアンダーサドルを使った方が音質もよく、使い勝手も安定します。

ピエゾピックアップの種類と違い まとめ

・アンダーサドルタイプはサドルの下に埋め込む方式で、アコギなど楽器本体に加工が必要

・弦の張力でサドルに押さえつけられ弦の振動がサドルから直に伝わるため、振動を拾う効率が良い

・コンタクトタイプは貼り付け式で、楽器本体への加工が不要で、簡易的に使うことも可能

・ただし、貼り付けが甘いとビリつきが出るため、安定性の面ではアンダーサドルタイプに劣る

平たく言えば、アンダーサドルタイプはギターなど楽器本体を加工して完全にエレアコにするために使われるタイプで、コンタクトマイクは一時的に使う簡易ピックアップとして使われることが多い、といったところで違いがあります。

アコギやクラシックギター、ウクレレをアンプを通して音を出す場合、可能であればアンダーサドルタイプを仕込んでエレキ化してやるのが音質的にも使い勝手的にもベスト。

しかし、予算の問題や今後生ギターとして使いたいために加工をしたくない場合などは、一時的な措置としてコンタクトマイクを使うとよいでしょう。