楽器通販・卸大手 サウンドハウス怒りの楽天退店

2015年1月24日

楽器通販大手サウンドハウスが大手通販モール楽天市場から撤退?

サウンドハウスと楽天市場

ケンカ別れ(?)になってしまった楽天市場とサウンドハウス

2014年11月、突如としてサウンドハウスが国内通販モール最大手である楽天市場からの撤退を宣言し、ニュースになりました。

前回サウンドハウスについて書いていて思い出したので、ことの顛末をば・・・

通販業が収益の柱の一つでありながら、国内最大の通販モールからわざわざ退店するんですから、これは衝撃的。

特に必要な知識ではありませんが、楽器業界にあった事件の一つとしてご参考になればと思います。

 

サウンドハウスの怒り&撤退の理由

サウンドハウスが退店を決めた理由を端的に言えば、

『 楽天市場が商習慣に反し、自社の利益のため一方的にモールのシステム改悪を行った 』

ところに怒りを感じたから。

そのシステム改悪というのが、2014年11月13日にあった銀行振込の仕様の変更

お客様が銀行振込で商品を購入した場合の振込先口座を、楽天市場が店舗ごとに用意した楽天銀行の振込専用銀行口座にするというもの。

楽天市場の銀行振込 従来の仕組みと新しい仕組み

従来、楽天市場上の銀行振込の注文があった場合、決済には店舗側の会社が自身で用意した振り込み口座を使用していました。

楽天市場銀行振込の従来の仕組み

注文が楽天市場を経由しただけで、商品と代金は直接取り引き。

ごく普通のことですが、つまりはお客様が直接、買ったお店にお金を振り込んでいたというわけです。

楽天市場でも今まではそうでしたし、他の大手モールAMAZONやYahoo!ショッピングでも同様。

それが11月13日の仕様変更で、直接ではなく楽天銀行の口座を経てから店舗側の口座へ振り込まれるようになったんですね。

楽天市場銀行振込の新しい仕組み

一旦楽天銀行を経由し、出店者側にはすぐに入金されない。

この楽天銀行の決済用口座は楽天市場側で開設し、楽天市場上の店舗のページにある振り込み先の案内も、自動的にこの楽天銀行の口座情報に差し替えられました。

これに対し、サウンドハウスが

『 楽天は一方的に弊社の決済口座としては楽天銀行の口座に一本化するということを決め、お客様に告知 』

出店店舗の銀行口座を勝手に開設し、決済用口座としてはその口座しか認めないということは、これまでの日本の商習慣ではありえないこと

(サウンドハウス公式HP内 – サウンドハウス楽天支店中止のお知らせ – より引用)

と怒ったのです。

銀行振込仕様変更に関する楽天市場側の言い分

この銀行振込仕様変更について、楽天は「 楽天市場で買い物をされるお客様を楽天市場上の店舗を装った偽サイトなどから保護するためのもの 」としています。

確かに近頃偽サイトが話題になりましたし、楽天市場上の店舗だと思い込んで安心して代金を振り込んでしまう、ということはあり得るかもしれません。

しかし今回の仕様変更で導入された振込決済用口座は支店名全てが『 楽天市場支店 』で、これは楽天市場上に出店しているお店の振込決済口座専用の支店。

通常の口座としては取得はできないので、偽サイトでの利用は不可能です。

振込先が楽天銀行の楽天市場支店になっている場合は間違いなく楽天市場上の店舗であるとわかる=安心と言う仕組みなのです。

また、一方的であったということについても、事前に連絡はしていたので問題ない、というのが楽天の言い分。

確かに9月頃に楽天市場に出店している全店舗へパンフレット案内が届いたと言うのは確かなようですし、サウンドハウスも仕様変更について事前に把握はしていたことは認めています。

仕様変更のデメリット

確かにこれでユーザーは楽天市場の偽サイトから保護されましたが、この仕組みには楽天市場のユーザーや出店店舗にデメリットもあります。

まずユーザーの場合、振込先が楽天銀行に一本化されるため、楽天銀行の口座を持っていないと振込手数料がかかるデメリットが。

そして出店店舗には、この振込決済用の口座は店舗ではなく楽天側が管理しており、月に二回しかお金が入金されてこないというデメリットがあります。

店舗側は従来は注文をしたユーザーから直接振り込んでもらっていたので随時現金が手に入りましたが、新しい仕組みでは楽天銀行の口座から月に二回、10日と25日にしか入金されません。

ユーザーから楽天銀行に入金されたことは随時わかる仕組みにはなっているので、店舗側はいつも通り商品をすぐに送ります。

が、お金はすぐに入ってこない。

経営者としては、何よりもこれがいや~なことなのではないでしょうか。

楽天の利益のための仕様変更ではないかという見方

実は、出店店舗は309円の手数料を払うことで10日と15日以外の日にも入金してもらうことは可能です。

もしくは、楽天市場から入金されるお金の受け取り口座を楽天銀行にすれば、この手数料も無料になります。

そして楽天市場のユーザーも、楽天銀行の口座から振り込めば振込手数料は無料です。

逆に言えば、出店店舗側もユーザー側も、今までと変わらないようにするためには、楽天銀行の口座を開設する必要があるわけです。

楽天側は『 あくまでユーザー保護のため 』として否定してはいますが、これが楽天銀行の口座数や手数料収入を増やすための施策ではないか、という声もあります。

事実、サウンドハウス代表取締役である高坂昌信氏は通販新聞のインタビューで「 楽天市場がユーザーの保護施策として楽天銀行口座への一本化を進めるなら、手数料等は全て楽天市場が負担すべきだ 」と語っています。

(通販新聞 – サウンドハウス・高坂昌信代表取締役に緊急インタビュー「楽天に裏切られたから退店した」 -)

やはりサウンドハウスの楽天市場には相当な怒りがある模様です。

そしてうやむやのうちに退店・・・

騒動の流れとしては、

1. 11月13日 楽天の銀行振込の仕組みが変わる →

2. 11月19日 サウンドハウス、楽天へ抗議し元に戻すよう要望するが決裂。退店を決定し、その理由を公式サイトに掲載 →

3. 楽天、サウンドハウスが掲載した内容について抗議 →

4. サウンドハウス、じゃあこれでいいか?と送るも返答なし

特に関係者から直接お話を伺ったわけではなく、通販新聞などの通販関連サイトから得た知識によるところなので間違いがあるかもですが、こんなところでしょうか。

楽天は「 両社とも担当者が退社したこともあり、細かいところはわからないが、引き続きご納得頂くべく説明していきたい 」としていましたが、サウンドハウスが退店し、そのままひと段落してしまったようです。

率直な感想では、サウンドハウスの怒りはごもっとも。

管理人も通販部門で働いていたことがあり、楽天が一方的なところがある、というのは覚えがあります。

RMS(楽天上の店舗の管理システム)受注管理で致命的なバグを出したりで不満が噴出したこともありますし・・・

出店コストも徐々にあがっていますし、このままではゆでガエルになるということも皆さんお分かりのはず。

通販大手ということもあってかサウンドハウスさの退店ばかりが話題になりましたが、他にも退店したり、退店を検討した店舗も多いと思います。

楽天市場はユーザーにとって魅力のあるものですが、出店店舗をあまりないがしろにすると・・・と思う今日この頃です。