バルブオイルの粘度の選び方と違い

色々粘度の違うバルブオイルがあるけれど…

トランペットやユーフォニアム、チューバなど、多くの金管楽器のピストンバルブに欠かせないメンテナンス用品の一つがバルブオイルです。

様々なメーカー・ブランド各社が出しており、非常に多くのバリエーションがあります。

その中で最も重要視すべきが粘度です。

粘度の違いによってピストンの操作感の重さが変わるため、粘度の低いさらさらしたものを軽い / 粘度の高い物を重いとも言います。

例えばYAMAHAはウルトラライト – ライト – レギュラー – ヴィンテージと4種類も出しているなど、同じメーカーで複数の粘度のバリエーションがあることは決して珍しくありません。

今回はバルブオイルの粘度に重点をあてて解説します。

ピストンのクリアランスとバルブオイルを注さないといけない理由

まず、バルブオイルの働きについて理解しておきましょう。

金管楽器のピストン部分は、ピストンバルブと管となるシリンダーが噛みあってできています。

このシリンダーとピストンの隙間をシリンダー、もしくはピストンのクリアランスと呼びます。

ピストンとシリンダーのクリアランスとは

クリアランスに入り込んで潤滑油として働くのがバルブオイルの役割です。

潤滑油ですから、当然その粘度でピストンを押す抵抗感・感触が変わってきます。

意外ときちんと注さない方が多いのですが、オイルはすぐに気化したり流れてしまうもの。

ピストン楽器の練習時にはその都度ピストンに注すことが推奨されています。

オイルが切れてしまうとシャコシャコと金属同士がこすれあうノイズが出ますし、ピストンを押した時の感触も悪くなり、摩耗しやすくなるためクリアランスが広がってしまいます。

摩耗自体はオイルを注していても避けられませんが、良い状態を長く保ち、良い吹奏感と音のためにもぜひ適切にオイルを注しましょう。

粘度の違いと使い分け(メリットとデメリット)

バルブオイルの粘度クリアランスの状態による使い分け

結論を先に言えば、

クリアランスの狭い楽器は粘度の低いバルブオイル

クリアランスの広い楽器は粘度の高いバルブオイル

で使い分けるのが一般的です。

なぜそのようなその使い分けになるのか、もう少し突っ込んで解説しましょう。

低粘度の軽いオイルは、抵抗感の少ないスムーズなピストンの動作を得られます。

ただし気化や流れてしまうのが早く、こまめにオイルを注す必要がある点がデメリット。

一方、高粘度の重いオイルはピストンの感触が重くなるデメリットはありますが、オイルが流れにくいメリットが得られます。

感触が重くなる点は適切な重さであれば適度な抵抗感と滑らかな操作感となり必ずしもデメリットともいえません。

感触ももちろん大事ですが、オイルが気化したり流れてしまうとノイズの原因となるので、オイルの流れやすさも重要な要素です。

しかし、ただその好みだけで選べば良いものではありません。楽器の状態によって合わせる必要もあるのです。

楽器の新しさ・古さなど状態での使い分け方

新品など新しめの楽器はピストンやシリンダーの摩耗が進んでいないため、クリアランスが狭い場合がほとんど。

狭いクリアランスに粘度が高く重いオイルを注すとピストンを押す感触が重くなってしまいます。

なので、新しめの楽器にはあまり重いオイルではなく、低粘度の軽いオイルの方が向いています

反対に古い楽器はピストンとシリンダーとの摩擦でクリアランスが広がっている場合が多いです。

その場合軽いバルブオイルではすぐに流れてしまうので、古い楽器には広がったクリアランスを支えるためにある程度粘度が高いバルブオイルが向いているのです。

(YAMAHAの高粘度のバルブオイルの商品名がヴィンテージなのもこのため)

楽器や奏法・ジャンルでの使い分け方

オイルは楽器の新旧だけでなくジャンルや奏法・楽器の種類によっても選び方を考える必要があります。

ジャズなど早いフレーズを吹く場合はスムーズにピストンを動かすために軽いオイルが向いています。

また、コルネットやトランペットなど比較的小さい金管楽器も軽いバルブオイルの方が向いています。

小さい金管楽器はピストンが小さく、クリアランスの面積も減る=オイルが保持すべきクリアランスの全量が減るわけですから、軽いオイルでも保持できるわけです。

反対にユーフォニアムやチューバなど大型の金管楽器はピストンが他よりも大型のためクリアランスの面積が広いので、粘度の高い重めのバルブオイルが好まれます。

オイルが多く必要なので流れやすい低粘度のバルブオイルは向かないのです。

大型のピストンは低音楽器に多く、早い運指はあまり必要ありません。

多少抵抗感があっても問題はないので、流れにくく気化しにくい点を重視した方が結果でしょう。

まとめ

・バルブオイルはクリアランス(ピストンとシリンダーの隙間部分)の潤滑油の役割を持つ

・粘度が低いバルブオイルは流れやすいが、抵抗感の少ないスムーズな演奏性をもたらせる

・そのため、早いピストンワークが必要な場合や新品や小型のクリアランスの狭い楽器に適している

・粘度の高いバルブオイルはピストンがしっかりとした感触になり、流れにくい

・そのため、ピストンが大きなユーフォニアム、チューバや長い間使用してクリアランスが広がった楽器に適している

管理人の個人的なオススメのバルブオイルですが、重めではLA TROMBA(ラトロンバ)のT1辺りが人気もあって扱いやすいかと。

軽めのオイルではAL CASS(アルキャス)のファーストオイルWarburton(ワーバートン)のPDQオイルがオススメ。

ワーバートン PDQオイルは著名トランペット奏者 エリック宮城氏も愛用しており、人気ながら長らく品薄となっておりましたが、野中貿易さんの奮闘で供給が安定したようで、ようやく市場に出回るようになってきたようです。

もちろん上記以外にもいいオイルはたくさんありますし、メーカーや種類によって粘度だけでなく成分や香りも違うなど様々な違いがあります。

ぜひ色々なものを試してみて、プレイスタイルや楽器に合ったものを見つけてください。

 

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