【フェンダーの歴史】 FENDER JAPANの歴史

2017年1月6日

何気に紆余曲折あるFENDER JAPANの歴史

FenderJAPANロゴ

フェンダージャパンの歴史

日本製FENDERとして有名なFENDER JAPAN

FENDER JAPANの歴史が始まるのは1982年ですが、その歴史を知るためには1970年頃の日本でのエレキギターブームまでさかのぼる必要があります。

憧れのミュージシャンが使うFENDERやGIBSONのエレキギターは当時かなり高価で、なかなか手が出せるものではありませんでした。

そんなユーザーたちの声を受けて、日本の各メーカーが安い価格でFENDERのストラトキャスターやGIBSONのレスポールなどのエレキギターをコピーしまくってました。

今でもストラトキャスタータイプのギターは各社造っていたりしますが、当時はロゴまでガッツリ似せたりとかなりせっそうがないものばかり。

いわゆる海賊版です。

(海賊版自体は日本に限らず世界中であったようです)

実は米FENDER社自体、1960年代にはCBSに会社を売却したりレオ・フェンダー氏は退社したり品質を大きく落としてユーザーらからそっぽを向かれたりと、特に1970年代~1980年代は会社としても迷走していた時期です。

その上世界各地ではコピー品が乱造され、FENDERは一時ストラトキャスターすら製造中止するほどまでに追い込まれ、まさに暗黒時代でした。

これに業を煮やしたFENDERが『 日本で廉価版のものを造らせて、海賊版に対抗しよう 』と立ち上げたのがFENDER JAPANなのです。

FENDER JAPANの初期はフジゲン製

FENDER JAPAN = 神田商会なんてイメージがありますが、初めにFENDER JAPAN製造・販売の白羽の矢が立ったのはフジゲンで有名な富士弦楽器製造です。

FENDER JAPANの運営自体は米FENDER社とフジゲンを筆頭株主に設立された株式会社フェンダージャパンによって行われました。

株式会社フェンダージャパンの設立にあたっては神田商会や山野楽器なども出資しており、神田商会も全く無関係ではありません。

実はこの頃日本の有名メーカーは軒並みGibsonにコピーモデルの件で一斉訴訟を起こされたばかりで、そのモラルを問われていた時期。

そんな中でFENDER社よりライセンス契約の話があったものですから、日本の各メーカーにとっても願ってもない話だったわけです。

実際の製造はフジゲンが行っており、この頃のモデルは今でもジャパンビンテージとして非常に人気があります。

しかし、バブル崩壊により会社の経営状況が悪化していたフジゲンは、1997年頃株式会社フェンダージャパンの株式を全て売却し、FENDER JAPANの事業から手を引きます。

FENDER JAPANと神田商会、ダイナ楽器

そしてFENDER JAPANを引き継いだのが神田商会です。

1997年にフジゲンがFENDER JAPANから手をひいて以降、FENDER JAPANブランドの運営・企画・販売は神田商会が行い、実際の製造は下請けとしてダイナ楽器が行っています。

フジゲン製と神田商会・ダイナ楽器製の見分け方は意外と簡単で、シリアルナンバーの上にある日本製である旨の文章の書き方の違いで見分けることが可能です。

神田商会に切り替わってからはシリアルナンバーの上にあった Made in JapanCrafted in Japan に切り替わっているから。

(ただし、2007年以降は再び Made in Japan に切り替わっているので注意)

Crafted in Japan に変わったのは木部の可能は海外に外注し、組み立てをダイナ楽器で行ったため Made in Japan を謳えなかった模様です。

この辺りについて詳しくは下記リンクよりどうぞ。

 

FENDER JAPANブランドの消滅とJapan Exclusive Series

2015年初頭、衝撃が走りました。

なんとFENDERが2015年4月をもって FENDER JAPANを擁する神田商会とのライセンス契約とFENDER USA商品の輸入・販売を行っていた山野楽器との正規輸入代理店契約が終了すると決定したのです。

その当時の管理人のツイートがコチラ。

普段全然リツイートなんてされない管理人のTwitterに半端じゃない数の反響がありました。

その衝撃の度合いがうかがい知れます。

のちに某楽器店の方から教えて頂いたのですが、この情報、ツイートした時点では一般には非公開情報だったらしく。

情報をくれた管理人の元上司、そんな大事なことを知らなかったらしい。

神田商会さん、山野楽器さん、FENDERさん、そして関係各位のみなさまその節は大変申し訳ありませんでした。

そんなわけで2015年4月時点でFENDER JAPANブランドは消滅しました。

しかし日本製FENDERエレキギターやベースがなくなったわけではありません。

FENDER JAPANの製品は米FENDER社本体のFENDERブランドに統合され、今はJapan Exclusive Series(ジャパンエクスクルーシブシリーズ)として販売されています。

もちろん契約は終了しているため神田商会は関わっておりませんが、製造自体は今でもダイナ楽器によって行われている模様です。

(さすがのFENDERも日本に自前の製造ラインまではもてなかった?)