ピックギターとフルアコースティックギターの定義

ピックギターとフルアコ、アーチトップギターという言葉

フルアコ・ピックギター

ジャズギターとして人気の高いピックギター・フルアコ

さて、ギターの分類・定義について長きに渡って説明してきましたが、ついにピックギターとフルアコースティックギターというところまできました。

フルアコはともかく、ピックギターというと耳慣れないかもしれませんが、どちらもボディー内は空洞となっており、分類としてはアコースティックギターです。

後は、モデルによってアンプラグドだったりエレキギターだったりします。

これらピックギターやフルアコースティックギターを総称してアーチトップギターと呼びます。

なお、ES-335などのセミアコースティックギターやソリッドギターであるレスポールもアーチトップボディーではありますが、セミアコはその全てがアーチトップとは限りませんし、レスポールの場合も言わずもがな。

そのため、単にアーチトップギターと言った場合セミアコや単にアーチトップになっているソリッドギターは含まれないことが一般的。

ギターのジャンルとしてアーチトップギター、といった場合はピックギター・フルアコースティックギターを指す
と思って良いでしょう。

そんなアーチトップギターですが、代表例と言えばGibsonのL-5や、SUPER400などでしょうか。
(冒頭画像の左がL-5。中央がSUPER400)

Gibson以外のメーカーでもアーチトップギターは造ってはいますが、今のアーチトップギターの原型を作ったのがGibson社ということもあり、一般的にはアーチトップギターといえばGibson、というイメージが強いようです。

 

ピックギター・フルアコースティックギターの特徴

アーチトップ・アーチバックボディー

ピックギター・フルアコースティックギターの特徴としてまず挙げられるのはアーチトップ・アーチバックで構成されたボディーでしょう。

ボディートップとバックが緩やかにカーブを描き、膨らんでいます。

アーチトップギターという名称の所以ですね。

ラウンドトップ・ラウンドバックとも呼ばれます。
(ラウンドトップギターとは呼ばれません)

構造としてはピックギターもフルアコも基本的には同じですが、ハウリングを抑えるためフルアコの方がボディー材の厚みを分厚く設定されることがあります。

このアーチを造るには二つの方法があり、削り出しでアーチを造るか、熱とプレスで曲げて造るかの二つの製法が主流ですが、削り出しの場合木材の厚みがかなり必要となるため、その木材が良質であればあるほどコスト高に繋がり、ある程度高級なモデルでのみ用いられます。

管理人が実物を見たことがある中では、杢がキレイに出たフレームメイプルをトップ・バックに削り出しで配したGibson L-5の場合、販売価格で100万円を超えていました。

材を曲げて形成する方が一般的と言えるでしょう。

ホロウボディーとfホール

どちらもアコースティックギターの一種ですから、当然ボディー内は空洞となっています。

ボディー自体はセミアコに比べ厚みがあることが特徴ですが、それよりも決定的な違いはセンターブロックの有無。

ピックギターやフルアコにはセンターブロックはなく、中は空洞になっており、フォークギターやクラシックギターに近い構造。

ホールの形はセミアコ同様特に制限はありませんが、やはり伝統的な左右対称のfホールが最も一般的です。

ブリッジ

フルアコ・ピックギターの場合ブリッジ部分にも特徴があります。

まず、弦を留めるテールピースはボディー上ではなく、ボディーエンド部に固定された状態で、ボディートップ側へ折れて伸びる形のテールピースを使用します。

フルアコのブリッジ

一般的なアーチトップギターのテールピースとブリッジ

このテールピースはボディートップ上には触れず浮いた状態なのですが、特に支柱等があるわけではなく、弦の張力によって引っ張られているだけ。

弦をはずすとボディートップに落ちて当たることがあるので、打痕等を作らないよう気を付ける必要があります。

そして、弦のコマとなるブリッジにはボディートップのアーチに合わせて作られた木の台座に載った形のチューン・O・マチックに似たブリッジが使われることが一般的ですが、このブリッジもボディー上で固定されていません。

弦の張力によって上から押さえつけられて動かない状態になっているだけ。

そのため、弦を全部緩めたり、全部切ってしまうとボディー上の位置がズレたりポロリと落ちてしまいます。

比較的新しめのモデルではボディー上にブリッジ位置を示す印がつけられていたり、ブリッジを上からはめ込めるように小さなネジが飛び出ているものもあり、こういったモデルであれば外れてしまったりズレてしまってもそれ程問題にはなりません。

しかしそういった目安がないモデルの場合、ブリッジがはずれると元の場所が正確にわからなくなってしまい、オクターブを合わせながら正しい場所に戻してやらなければいけなくなり、かなり面倒になります。

また、ブリッジの落下によりブリッジそのものの破損やボディーのキズの原因にもなるので、注意が必要。

こういった面倒を避けるため、フルアコースティックギターではレスポール同様のストップテールピースやチューン・O・マチックを搭載しているモデルも稀にあります。

ジャズ向きの独特なサウンドとフラットワウンド弦

ジャンルとしては特にジャズに人気のあるピックギターとフルアコですが、その独特な渋いサウンドを生む秘訣の一つが、フラットワウンド弦。

通常巻弦は線の上に細い線をらせん状に巻くためボコボコしていますが、ピックギターやフルアコにはこのデコボコのないフラットワウンド弦を張ることが一般的で、通常のワウンド弦が使われることはほぼありません。

フルアコとピックギターの区別

ピックアップマイクがついているエレキのアーチトップギターがフルアコースティックギター
ピックアップマイクがついていないアーチトップギターがピックギター

という認識で、とりあえず間違いはありません。

Gretsch-G9550

グレッチのピックギターG9550 NewYorker Archtop

このようにピックギターの場合、ピックアップマイクやコントロールの類がないためかなりスッキリとシンプルで素朴な外観に。

フルアコもピックギターも、多少のスタイルの違いや細かい仕様の違いはあれど、エレクトリック機構を除けば基本的な構造は同じです。

しかし、例えばピックギターにオプションとしてピックアップを取り付けるなどの例外もあります。

また、実はこの区別には諸説あり、

こういったスタイルのギターは元々ピックギター、アーチトップギターと呼ばれていたが、その後エレキギター化されたものをフルアコースティックギターと呼ぶようになった。なのでピックギターはフルアコの前身である。

という説と、

元々アーチトップギターはフルアコースティックギター、ピックギターなどと呼ばれていたが、エレキギター化された後に区別としてエレキをフルアコ、生ギターをピックギターと呼ぶようになった。

という説が今のところ定説として語られています。

恥ずかしながら管理人にはどちらが正しいかはわからないのですが…

どちらにしても現状では生のアーチトップギターはピックギター・エレキギター化されたものはフルアコという風に区別することが一般的となっていますので、そのような認識で構いません。

ただ、これが必ずしも厳密な区別方法ではない、ということは憶えておいてください。

(区別方法という程ではありませんが、L-5などのクラシカルなスタイルはピックギター、SUPER400のような割とモダンなスタイルはフルアコ、という認識も一般的にあります。)

アーチトップギターに限ったことではありませんが、こういった名称って人々の認識とともに移ろいゆくため、曖昧な部分が多々あり、違った認識を持つ人もいます。

とりあえず今はこういった区別がされていると憶えておき、しかしそれも変わってしまう可能性や、違う認識を持つ人もいるということも頭の片隅にでも入れて柔軟に対応しいましょう。

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