イマイチ納得がいかない木管楽器と金管楽器の分類

2014年12月24日

意外と分かっていない木管楽器と金管楽器の違い。

管楽器は、 『 管楽器の歴史はオーケストラの歴史と同じだけ古い 』 なんて言われるほど由緒正しい楽器でありながら、スウィングやビッグバンドなどジャズ系の音楽にも馴染み深く、現代ではポップスでも多用されるほど完成度が高く、成熟された楽器群です。

そんな管楽器ですが、ただ一言管楽器と片付けるには非常にバリエーションに富んでおり、色々な種類の楽器が存在しています。

しかし、これら管楽器たちを大別すると、木管楽器と金管楽器の二つに分けることができます。

さてみなさん、この木管楽器と金管楽器の違い・区別の仕方、きちんと理解しているでしょうか?

なんとなく何の楽器が木管楽器で金管楽器かはわかるという方は多いのですが、何故そう分類されているのかがわからない、という方は多いと思います。

木管楽器金管楽器 か、名前からしてすごく簡単な気はしますけどね。

しかし残念ながら、一番最初に思いつくであろう 木製の管楽器=木管楽器、金属製の管楽器=金管楽器というのは不正解です。

木製管楽器=木管楽器 / 金属製管楽器=金管楽器ではない不思議

管理人も楽器店でスタッフとして働き始めたばかりの頃、これでとても戸惑った覚えがあります。

確かに、あからさまに木製であるクラリネットやオーボエ、ファゴットなんかは木管楽器です。

そしてあからさまに金属でできているトランペット、トロンボーン、チューバなどは金管楽器です。

木製・金属製の管楽器

区切りの左側が木管楽器 / 右が金管楽器

この写真で見る限り木製と金属製にキレイに別れています。

が、この画像、あえてサックスとフルートをはずしています。

実は、フルートとサックスは木管楽器扱いなのです。

どうみても金属製なのに、フルートとサックスは木管楽器です。

吹奏楽部などに所属したりで、このこと自体は知っているという方も結構いらっしゃるでしょう。

しかし、何故木管楽器扱いなのかはイマイチわからないという方も多いです。

金属製なのに木管楽器なサックスとフルート

サックスとフルート。金属製のくせに木管楽器というわけわからんヤツラ。

納得がいきませんよね?

どう見ても男なのに 「 私女だから! 」 と言い張って女子会に参加して何も言われないくらい納得がいきません羨ましい。

「 あ、この二つの楽器、実はメッキしてあるだけでベースは木なんでしょ! 」

という風に思ったアナタ。

さすがです。なかなか鋭い発想です。

先のたとえで言うなら、身体は男でも心は女性、といったところでしょうか。

 

残念ながら不正解です。

持ち上げておいてスミマセン……

ちなみにフルートは高級モデルで木製のフルートも存在しますが、木製のサックスは存在しません。

それでも分類上は木管楽器です。

なんかこれ以上引っ張ったらみなさん興味を失いそうなので、そろそろ種明かしをしましょう。

実は木管楽器 / 金管楽器というのは木製か金属製かではなく、音の出し方によって分類されるのです。

なかなかの初見殺しですよね。

これ知らなかった人の正答率なんて1%もないんじゃないでしょうか。

木管楽器の分類

金管楽器が概ねラッパを形容できる楽器であることに対して、木管楽器は概ね笛の管楽器です。

広義ではオカリナなんかも広義では木管楽器だったりと、実はかなり多くの楽器が木管楽器として分類されます。

代表的な木管楽器

・ピッコロ / フルート

・クラリネット

・オーボエ / ファゴット

・サックス(サキソフォン)

木管楽器の発音方法

木管楽器は基本的に、リードなるものを鳴らすことによって音を出します。

リード

一般的なリード。

ちょっと竹にもにた感じですが、原料はケーン(葦)というイネ科の植物。

パスカルの 『 人とは考える葦である 』 、という名文にも出てくるあの葦です。

その葦を削って成形してものです。

例えば問題のサックスの場合は、このリードをリガチャーでマウスピースに固定し、マウスピースとリードの間から息を吹き込みます。

この時のリードの振動が音になるのですが、このようにリードを震わせて音を鳴らす楽器を木管楽器と呼ぶのです。

「 リードをリガチャーでマウスピースに~ 」 なんて文章、管楽器を知らない方からすれば 「 パルスのファルシのルシがパージでコクーン 」 (※)並のワケワカランだと思いますが、とりあえずはエレキギターで言うところのアンプにシールドを差したり、というようなものだとでも思っておいてください。

(※ゲームファイナルファンタジー13発表時に全くワケわからんと話題になった迷文)

ともかく、本体の素材に関わらず、リードを使う管楽器=木管楽器というのが管楽器の分類上大事なポイントです。

金管楽器の分類

基本的に音を大きくするためのベルがついており、形状は違えどラッパっぽいものは大抵金管楽器と思って良いでしょう。

木管楽器とは違い、リード・リガチャーは使いません。

マウスピースは使いますが、そもそも楽器としての発音方法が異なり、マウスピースの形状・構造も木管楽器のマウスピースとは根本的に異なっています。

代表的な金管楽器

・トランペット / コルネット

・フリューゲルホルン

・フレンチホルン

・トロンボーン

・ユーフォニアム

・チューバ

金管楽器の発音方法

木管楽器はリードを震わせて音を出しますが、金管楽器は演奏者自身の唇を震わせることによって音を出します。

ここが両者の最大の違い。

なので、金管楽器を吹ける人の場合、そのマウスピースさえあればとりあえず音を出すことができます。

まとめ

・木管楽器と金管楽器の区別に、木製であるかや金属製であるかなど、素材は関係無し。

・リードを震わせて音を出す管楽器が木管楽器。

・リード等は使わず、演奏者自身の唇を震わせることで音を出す管楽器が金管楽器。

こういった事実を知った後でも、管理人としてもまだ木管楽器は木製管楽器ではないというところにちょっと納得が行かないんですけどね。

しかし、近頃では木管楽器・金管楽器のどちらもプラスチック製のものも製造・販売されるようになってきていますし、楽器に使われる素材というのもその時代によって移り変わるもの。

そもそも素材で分類をするということ自体がナンセンスなのかも知れません。

以上、木管楽器と金管楽器の違いでした。

管楽器関連の知識では最も初歩的な部分でもありますし、楽器好きの間では結構受ける話題だったりするので、是非憶えておきましょう。

・・・

鋭い方ならお気づきかもしれません。

今回、サックスとフルートを金属製の木管楽器として引き合いに出していましたが、途中からフルートをフェードアウトさせていました。

実はフルートは木管楽器でありながら、説明したようなリードがないのです。

何故リードがないのに木管楽器扱いなのか……

気になると言う方は、是非下記関連記事よりご覧ください。