楽器にも使われる色々な木材の輸出入を禁止するワシントン条約とは?

2016年12月26日

ワシントン条約とは?

色々な木材の輸出入を禁止するワシントン条約とは?

ワシントン条約とは、動植物の絶滅を防ぐための国際条約主に輸送や他国間同士の輸出入を規制する国際条約です。

正式名称は絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora。

略してCITES。

……ワシントン条約の方がわかりやすくていいですね。

1973年3月3日に初めて採択され、日本も1980年に批准しており、現在では多くの動植物が対象になっています。

楽器に関係ある代表的なところではブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)や象牙などが有名。

ちなみに動物ではパンダやゴリラ、オランウータンなどが有名なところです。

ワシントン条約の保護リスト 付属書I・付属書II・付属書III

実はワシントン条約に載ったからといって、必ずしも完全に取引が禁止されるわけではありません。

ワシントン条約の保護リストには、付属書I、付属書II、付属書IIIの3種類があります。

それぞれ保護が必要な度合いに応じて掲載されるリスト=付属書が決定され、規制の度合いが変わります。

各付属書による詳しい規制は以下の通りです。

付属書I

  • 対象基準:絶滅のおそれがあり、取引によって影響受けている、もしくは受ける可能性がある種
  • 規制内容:商取引は禁止され、研究など学術的目的での取引のみ可能。輸入国・輸出国双方の政府による許可証が必要

付属書Iによる規制こそがワシントン条約の最高クラスの規制となります。

絶滅の危機に瀕した動植物が指定され、研究など学術的な目的以外での輸出入・地域間の輸送が原則禁止されます。

付属書Iに掲載されているなかで楽器に関連があるものは、ブラジリアンローズウッド、通称ハカランダや象牙が代表例といえるでしょう。

他にもウミガメの一種であるタイマイも付属書Iに入っているため、ビックやピックガードなどに使われるべっ甲も規制されています。

動物ではジャイアントパンダや上記の通りウミガメなどが代表例です。

実のところ、象牙は象牙そのものが規制されているのではなく、アジアゾウやアフリカゾウなど象牙を持つ動物そのものが規制になっています。

規制された動植物から加工された品、例えば動物の生体ではなく、剥製やその身体の一部なども規制の対象となります。

付属書Iでいえばアフリカゾウやアジアゾウそのものだけでなく象牙が規制対象となり、ハカランダでいえばハカランダを使ったギターなども規制対象となります。

付属書II

  • 対象基準:他国間の取引を規制しない場合、将来的に絶滅する可能性がある種
  • 規制内容:商取引自体は可能。輸出国政府による許可証が必要

付属書IIは切羽つまった絶滅の危機に瀕しているわけではないが、国際的な取引によって将来的に絶滅する可能性がある種が、付属書IIに指定されます。

商業的な取引自体は可能ですが、無制限というわけではなく、輸出国の政府による許可証が必要となります。

最近対象になったなかでは2013年にはニューハカランダと言われていたココボロが、そして2017年1月2日からはローズウッド全種とブビンガが付属書IIにリストアップされています。

ローズウッド全種の輸出入禁止については下記リンクより併せてご覧ください。

付属書III

  • 対象基準:締約国が自国内の種の保護ため、国際的な協力を必要とする動植物
  • 規制内容:商取引自体は可能。輸出国政府による許可証または原産地証明証などの書類が必要

付属書IIIは性格的には付属書IIに近く、商業的な取引自体は可能ですが、輸出国政府による許可証または原産地証明証などの書類が必要です。

楽器にも使われる色々な木材の輸出入を禁止するワシントン条約とは?まとめ

  • ワシントン条約とは、絶命の危険がある野生の動植物を保護するため、国際的な取引を禁止する国際条約。
  • その保護リストには規制が厳しい順に付属書I、付属書II、付属書IIIの3種ある。
  • 楽器に関係している規制品の代表例はハカランダ(付属書I)、象牙(付属書I)、ローズウッド全種(主に付属書II)が挙げられる。
  • ワシントン条約が規制するのは国際間での取引のみで、すでにその国にすでに存在する分については規制されない。

やはりワシントン条約の中で代表例といえばジャイアントパンダが有名なところ。

そういう意味では、ハカランダはパンダ級に保護されている状況ってことです。

スゴイ、上野公園に植えるとなったらニュースになるレベルなのか、ハカランダ。

冗談はさておき、楽器に使える木材は年々減ってきています。

特に楽器は特性上木材の見た目のみならず音質にも関わるところ部分でもあるため常に良質な求められてきました。

しかし木材は天然の資源、楽器に使えるレベルになるまで育つのには数十年単位の期間が必要。

特にローズウッドは特にギターやベースには欠かせない木材として重宝されてきましたし、多少稀ではありながら管楽器でも使われることも多い木材です。

逆にいえば、それだけ多くのこれから楽器が影響を受けることになります。

海外に楽器を送る場合や持ち出す際には注意しましょう。