弦楽器のスケール(弦長)は実はちょっと適当!?

意外と適当な弦楽器のスケールの数値

弦楽器のスケールの数値って、例えばストラトキャスターは648mmで、レスポールは628mmだったりと、数字として中途半端ですよね。

サイトや文献によってはストラトキャスターは650mm、レスポールは630mm、なんていう表記になっていたりもします。

2mmも違っていたらピッチ上結構まずいんじゃ…という気もしてきます。

今回はこの辺りのお話をしようと思います。

その前にまず、何故650mmや630mmではなく、648mmとか628mmとか中途半端な数字が出てきてしまうのか、その理由からいってみましょう。

なんでスケールの数値って中途半端なの?

理由はすごく単純で、元々弦楽器たちはミリサイズ(というかメートル法)ではなくインチサイズで設計されているからなんです。

(海外から入ってくる楽器は大体インチサイズで、和楽器も尺だったり寸だったりですし、ミリサイズの楽器って実はあまりなかったり。)

例えば当サイトの別記事ではベースのミディアムスケールが約812mm、ロングスケールが約864mmと紹介していましたが、実際にはそれぞれ32インチと34インチ。

1インチが25.4ミリなので、ベースの場合実際には

ミディアムスケール 32×25.4=812.8mm

ロングスケール 34×25.4=863.6mm

ということになります。

さて、管理人は以前ベースのミディアムスケールは約812mmと解説しました。

しかし上記の通り、実際には812.8mmと813mmの方が断然近いです。

ヒィ!スミマセン四捨五入がわからないわけじゃないんです義務教育は受けてますからヒヒィン!

ちょっと言い訳させてください。

ベースのミディアムスケールの場合、406mmと半長で言うことも結構あるので、あえて2で割り切れる数字にしただけなんです!

ギターのショートスケールは609mmにしとるやんけと鋭い突っ込みは勘弁してください…

これはこれで609mmというのが一般的なので610mmと書かなかったんです…

スケールってそんな適当でいいの?

実を言うと、弦楽器のスケールはあくまでも設計上の目安の数値である、といった面があり、多少のズレは大して問題にはなりません。

そんなんピッチズレてまうやん!って思うかも知れません。

が、ぶっちゃけレスポールのスケールを約628mmと言おうが約630mmと言おうが、あまり変わらないんです。

せっかく話が出てきましたし、レスポールのブリッジを見て見ましょう。

一般的なレスポールのブリッジ・サドル周り

一般的なレスポールのブリッジ。ブリッジ自体がナナメに設置されている上に、各弦のサドル位置はバラバラ。

そう、ギターやベース・ウクレレなどフレットのある弦楽器のブリッジのコマの部分って、ナナメになっていたりで各弦位置がずらされています。

ナットは真っ直ぐでなので全弦スタート位置は一緒なのですが、ゴールであるブリッジのサドル部分はこんな感じでバラバラ。

これが小学校運動会の徒競走なら、噂のモンスターペアレンツでなくても父兄さんからクレームが来るレベル。

しかしギターやベースでは平然とこんなことが起こっています。

あれ、なんか腹立ってきたぞ。われわれは断固反対する~!(小声)

何故こんな摩訶不思議なことなっているかというと、各弦ごとにある微妙な誤差を修正するためにわざとやっているのです。

フレットを打ち込んである弦楽器は、例え設計上完璧なスケールの位置にナットとサドルを置き、完璧な精度でフレットを打ち込んだとしても、様々な要因により各弦微妙な誤差が生じてしまいます。

その誤差の要因には色々とありますが、例えば

・弦はナットからブリッジに向かって真っ直ぐにではなく微妙に放射状に広がるように張られることと、弦高の関係で生じる実弦長の誤差

・押弦の際の力加減。

などなど。

こういう関係もあってフレットのある弦楽器の場合、ただスタート位置であるナットとゴール位置であるサドルを並行に真っ直ぐにおいたのでは音程がズレてしまうのです。

これはもう、ギターやベースに限らず、ウクレレとかバンジョーとか、フレットがある全ての弦楽器にとって避けられない宿命。

ただ、この誤差を少しでも緩和するためのオクターブ調整ができるよう、エレキギターやベースではブリッジのコマを前後に動かすことができるようになっているのです。

コマを動かせない=オクターブ調整できないようなフォークギターでも、 「 大体こんな感じだろう 」 というちょっとザックリした感じでサドルをナナメに置いたり、弦によってサドルの頂点の位置をずらすことで、各弦ごとのチューニングの誤差を緩和しています。

一般的なアコースティックギター(フォークギター)のブリッジサドル

一般的なアコギ(フォークギター)のサドルはオクターブ調整はできないが、ナナメに設置することである程度各弦の誤差を修正している。

この辺りはモデルにもよりますが、ウクレレやクラシックギターなんかでもナナメになっているものもあります。

というわけで、特にエレキギターやベースの場合は結局実際に弦を張った後にオクターブ調整を行いますので、2,3mm程度のズレは後で補正できちゃうんですよね。

じゃあスケールの数値なんて何の意味があるんだ?という疑問が湧くかと思いますが、スケールは実際には弦長そのものよりもその弦長に合わせてフレットごとの間隔の数値を割り出すためのもの、という意味合いが強いです。

そんなわけで、648mmと言おうが650mmで言おうがぶっちゃけあまり変わらない、というお話です。

自分で楽器を作ったり設計する人にとっては大事な要素かも知れませんが、その時はその時で製作者の自分で都合のいいスケールの数値に決めてしまえばいいんですから。

例えば、冒頭のベースのミディアムスケールを造ろうと思ったら、812.8mmの0.8mmが計る時にも計算する時にも鬱陶しいし、切り捨てて812mmにするとか、813mmに設定するとか。

もちろん製作する際の細かい数値を実現する精度は高いに越したことはありませんが、設定する際は別に適当だって構わないわけです。

その分サドルの位置が全体的に前後に動くだけ。

スケールを812mmで設定したベースを人に見せて 「 このベース、813mmスケールで造ったんだ 」 って言っても、本人以外誰にもそれが嘘だとはわかりません。

フォークギターのようにサドルを埋め込む非稼働式の場合でも、サドル上でピッチにこだわるのであれば、とりあえずサドルの位置はスケールから大きくはずれないように実測で決めて、後はサドル自体の成形で調整する方が容易です。

ちなみに、実際にギターやベース、ウクレレなどのフレットのある弦楽器を製作する際には、使うスケールの数値(例えば648mmとか650mm)を設定し、その場所を目安に前後の可動域が最も長くなるようにがサドルを設置、同時進行でフレットの設定したスケールの数値を元にフレット間隔を計算して、その計算で設定した長さところにフレット用の溝を掘り打ち込む、というのが定石。

フレットの無いバイオリンなんかはどうなの?

バイオリン・ビオラ・チェロなどフレットのない弦楽器は、サドルが楽器の本体に固定されておらず、弦の張力でその場に留まっているだけ。

弦を外すか緩めるなどで簡単に動かすことができます。

フレットがない弦楽器は演奏者の加減で出す音程・ピッチを調整しますから、実際サドルはある程度自由に動かすことができますので、スケールの数値は更に目安としての意味しか持たなくなります。

まとめ

・一般的に言われているミリサイズ(メートル法)でのスケールの長さはあくまでも目安であり、実際にはインチサイズで設定がなされている。

・フレットのある弦楽器の場合サドルの位置を各弦誤差に合わせてばらつかせるので、そもそもスケールの数値自体がフレットを打つ間隔を割り出すための目安でしかない。

・なので、会話の時には別段正確な数字でなくても通じさえすればぶっちゃけOKってレベル。

つまり設計上いくらナットからスケールの数値ピッタリのところにサドルを置く線を引いたとしても、完成後は各弦弦長はバラバラになってしまうので、机上の数値でしかないスケールの数値にこだわってもしゃーない、ということですね。

スケールについて書かれたサイトさんや文献同士でもスケールの数字の表記が違っていたりするのはこういった事情があります。

どうせ大抵の方にとってスケールは会話で出てくるくらいなので、要はロングスケールなのかミディアムスケールなのか、ということがわかる程度であればざっくりでいいんです。

スケールにはこういった実情があるのですが、世の中には約という表記を許さず、この辺りの細かい数値にもこだわる方もいらっしゃいます。

より良い音を出すために細かい音程にこだわるのはプレイヤーとして素晴らしいことですし、管理人は非常にずぼらな人間なので情報を正確に憶えるという姿勢は尊敬していますが、スケールについては正直そこまで細かくこだわっていてもほとんど無意味です。

この辺りの数値については、寛容で寛大な心を持って接しましょう。

(つまりスケールについて適当なことを吐きまくってる管理人を許してねっ、ということには・・・ならないですよねハイ )

 

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