輸入楽器の区別・・・並行輸入品とは

2015年1月18日

輸入楽器の形態の一つ、並行輸入品

並行輸入品

今回は並行輸入品について解説します。

他にも正規輸入品、直輸入品についても解説した記事があります。

まだ読んでない!という方は下記関連記事のリンクからご覧いただけますので、是非。

 

並行輸入品とは?

並行輸入品とは、輸入代理店や日本現地法人によって正規のルートが確保されている海外ブランドの輸入商品を、別の卸問屋が独自の仕入れルートを確保し輸入したものを指します。

正規のルートと並行した別のルートからの仕入れているので、並行輸入品と呼ばれています。

ユーザーから見た並行輸入品のメリット

ユーザーが並行輸入品を買う一番のメリットは販売価格の安さでしょう。

正規輸入品より高かったり同じような価格であれば、わざわざ非正規輸入品である並行輸入品を買う人なんていませんから、基本的に販売価格は並行輸入品の方がが安くなります。

もう一つ、正規輸入品では存在しない海外仕様の楽器を手に入れることができる場合もあるというのもメリットの一つでしょう。

正規ルートの場合、本国のメーカーが日本で販売する商品を決めて、輸出をしています。

その際に 「 この商品は日本では販売しない 」 と決められたものは日本には輸出されないので、正規のルートでは入手することができません。

しかし、並行輸入の場合は卸問屋が手に入るものであれば買い付けて日本で持ってくればいいだけなので、本来日本では手に入らないモデルでもユーザーの手に入れることができるのです。

ユーザーから見た並行輸入品のデメリット

並行輸入品のデメリットは、正規輸入品と違いメーカー保証がないという点ですね。

大抵の場合は輸入した業者か販売店が保証をつけますが、どこまで対応してくれるかはその業者と販売店次第。

業者が保証をするという場合でも窓口は販売店となりますので、並行輸入品を購入する場合はその販売店が信頼にたるかをよく考えておく必要があります。

もう一つ、偽物の可能性というのもデメリットとして挙げられます。

が、普通の楽器屋さんで扱っているもので偽物ということはそうそうあることではないので、そこまで心配はしなくていいかと思います。

並行輸入業者にとっても楽器店にとってもリスクが高いので、偽物や怪しいものはまず仕入れません。

来る日も来る日も何百本、何千本と数年~数十年も楽器に触れ続けている人々が「 これ本物か? 」と目を光らせているのをごまかせるような物を造れる技術力があるなら、わざわざリスクを冒してまで偽物なんて造る必要もないでしょう。

もちろんどこで買っても偽物の可能性はゼロではないので警戒しておくに越したことはありませんが、楽器店側も普段の中古品の取扱いで偽物を警戒していますし、真贋については結構シビアなので、よほど怪しげな楽器店でもなければ安心していいかと思います。

この辺りが心配な方は、多少割高でも正規輸入品を扱っている販売店で購入した方が良いでしょう。

楽器販売店が並行輸入品を扱うメリット

販売店が並行輸入品を扱うメリットは、手軽にそのブランド商品を仕入れることができること。

契約要件をクリアできないなど何らかの理由により正規輸入品を仕入れることが出来ないが、それでもそのブランドの商品を販売したいという場合は、あとは並行輸入品を探すか、直輸入するかしか選択肢がありません。

直輸入もなかなかハードルの高いことですから、卸問屋から普通の商品と同じ感覚で仕入れることができる並行輸入品というのは魅力的。

販売店が並行輸入品を扱うデメリット

一番は並行輸入品にはそれほど儲けがない場合もあること。

大抵は業者が日本へ輸入する際の諸経費もありますし、そもそもそのブランド製品を作っているメーカーから直で仕入れているわけではないため、仕入れ価格が安いとは言っても破格というほどではありません。

その上に正規輸入品よりも多少なりとも安くしないと売れないので、儲けはあまり大きくない場合がほとんどです。

もちろん儲けが出せる場合もありますが、この辺りは全部並行輸入業者がどれだけ安く仕入れることができるかの腕次第というところです。

並行輸入業者側は正規輸入品を卸す業者と違い、ホームページの運営やら広告やらの経費はかかりませんから、安く仕入れることさえできれば商品の価格を抑える素地はあり、安く仕入れることさえできれば販売店も儲けをだすことも不可能ではありません。

もう一つデメリットは、ブランドを取り扱っているメーカーの現地法人や正規輸入代理店などとの関係が難しくなる可能性があるという点。

この後詳しく取りあげますが、現地法人や輸入代理店からしてみれば、非正規品である並行輸入品は不利益な存在。

販売店が正規の業者とその正規商品の契約は取り交わしていなくても、他の商品の取り扱いで付き合いがあると、営業マンがその販売店に出入りしたりします。

そこで卸していないはずの自社の商品を見たら、一発で並行輸入品だってわかってしまいますからね。

業界内の付き合いもありますし、ちょっと難しいところです。

日本現地法人・正規代理店への打撃と対策

並行輸入品は基本的に正規輸入品よりも安い価格で出回り、市場内での価格の相場が下がってしまうため、正規輸入品を扱う輸入代理店や日本の現地法人にとっては痛手。

しかも並行輸入ともなると大抵数もそれなりの規模で出回るので、その損失はバカにできません。

滅多にあることではありませんが、最悪の場合市場に偽物が出回る可能性もあり、本家の商品のブランド価値まで下がってしまうし、頭痛のタネです。

そこで、代理店・現地法人側は様々な活動で撲滅を図ったりします。

例えば、キャンペーンなどで正規品の価格を安くして正規品の普及を進める、というのも一つの手。

後はもっと手っ取り早く、並行輸入業者の仕入れを防ぐこと。

結局は大元を辿ればメーカーが出荷した商品がどこかのルートで並行輸入をしている業者の元へ行っているわけですから、このルートを潰せば話は早いんですよね。

並行輸入をしている卸問屋側も、仕入れのルートがバレてしまう可能性もありますし、正規の代理店・現地法人との関係が悪化してしまうので、あまり表だって「 うちは〇〇ブランドの並行輸入してますよー! 」とは言いません。

噂が広がればいずれ正規の業者の耳に入ってしまうので、楽器店もお客様にも「 ×△って会社から仕入れてます 」とはあまり言いません。

これがまた、ユーザー側からすれば並行輸入品の出どころがイマイチわからず、ユーザー側も安心できない要因にもなるのですが・・・

まとめ

・並行輸入品とは、主に卸問屋などが楽器を正規輸入品とは別ルートで仕入れ、卸しているものを指す。

・並行輸入品は正規輸入品よりは割安で手に入るが、正規のメーカー保証等がなく、品質保証は販売店次第となる。

主に、という言いまわしをしていますが、実を言うと並行輸入品と直輸入についてキッチリとした区別というほどの仕切りがあるわけではないんですよね。

例えば、今回説明した日本未発売モデル輸入うんぬんについては、ブランド単位で考えれば並行輸入ともいえますが、正規には輸入されていない物なのである意味直輸入という見方もできます。

この辺りは一般的にはこのようなイメージである、といった程度の認識でいいかと思います。

長くなってしまいましたが、今回はこの辺で。

直輸入についてはまた次回お話させて頂きます。