アーチトップギターの歴史

ピックギター・フルアコースティックギターの成り立ち

L4CES

ギターの歴史の1ページを彩るアーチトップギター

ジャズなど限られたジャンル以外では使われることが少ないとは言え、今でも一部のギタリストに絶大なる人気を誇るアーチトップギター(※)。

※ES-335などセミアコやレスポールなどのソリッドギターは除く、ピックギター・フルアコースティックギターの総称。詳しくは – ピックギターとフルアコースティックギターの定義 – 参照

そんなアーチトップギターですが、実はギターの歴史を紐解く上ではずせない、かなり大事な役割を担っています。

エレキギターの誕生に前後する話でもあり、ちょっとした小話にも使える豆知識なので、歴史が嫌いな人やジャズギターには興味ない人でも是非ご一読ください。

 

ピックギターの成り立ちから

ギターという楽器がまだまだ未成熟だった20世紀初頭。

この頃の音楽シーンではジャズのビッグバンドが人気で、トランペットなどの管楽器やドラムに交じってギターも演奏をしていました。

しかし、ビッグバンドの中ではソロを吹き鳴らす花形トランペットなんかに比べあまり目立たず、日陰の存在でした。

バンド内の他の楽器と比べて圧倒的に音量が小さかったのです。

音量も大きく遠達性の高い管楽器に加え、ドラムやらも混じっていたんじゃ、当時のギターではどんなに必死こいてみたところで音量が全然足りません。

興行主や他の演者たちに、「 ギター?ああ、アレね。全然聴こえないし、給料泥棒でしょ(笑)ぶっちゃけいらn(ピー)」

なーんて陰口叩かれたかもしれません。

今では花形のトランぺッターにも負けないくらいレジェンド級スターの多いジャズギタリストですが、当時はなんとも肩身が狭かったことでしょう。

どんなに技術があっても、音が埋もれて聴こえないわけですから。

「 小さなホールでしっぽりやる分には問題ないのに…悔しいっ 」とハンカチを噛んだギタリストも多かったことだろうと思います。

その内何人かはハンカチを噛み千切ってしまったかもしれません。

ともかく、そんな事情もあり、「 より音量が出るギターを! 」という需要が生まれました。

その需要に応える形で、Gibson社は大型化したピックギター群を開発し、世に送り出します。

エレクトリック機構がまだなかった当時、音量を大きくする一番簡単な方法は『 空洞=ボディーの巨大化 』。

ピックギターも大型化によりそれなりに音量が出るようになり、ボディーそのものが鳴るかのような独特な箱鳴りサウンドで親しまれます。

しかし、大音量を渇望するギタリスト達の声に答えたのは何もGibsonだけではありませんでした。

Martin社も、求められた大音量化への答えとして、革新的な程ボディーの大きいドレッドノートシリーズ(D-18,D-28など)を世に送り出します。

力木(ブレーシング)による補強とボディートップをフラットにすることによって、従来よりも薄い材で組み上げられたドデカいボディー。

従来のfホールとは異なる、ボディー内部に生まれた反響をダイレクトに出力する、弦の真下に大胆に配されたドデカいサウンドホール。

これらの要因により、ボディーはよく鳴るが音がこもっちゃうピックギターに対し、弾いた時のサウンドがパコーンと素直に出ていくドレッドノートギターの方が音量面で圧倒的に勝り、結果的にアーチトップギターは音量競争に敗北します。

こうしてMartin社のドレッドノートシリーズはフラットトップギターの王様という、新たなスタンダードとして王道を築き上げ、その人気を不動のものとします。

しかし、そこからまた別の道が生まれます。

更なる大音量を求められたギター業界に、ピックアップマイクによりギターをアンプで大音量で鳴らすという革新的な技術が生まれます。

エレクトリックギター。

この革新的な技術により、ギター業界は新たな時代を迎えます。

そして、Gibson社はピックアップマイクをいち早くアーチトップギターに載せ、より広いホールでも十分な音量を得ることに成功します。

(ピックギターとの境界はちょっと曖昧ですが、エレキのピックギターは今では一般的にはフルアコースティックギターと呼ばれています。)

一度は音量競争でフラットトップのアコースティックギターに敗れたアーチトップギターでしたが、エレキギター化することによって差別化を図ったのです。

これが成功を収め、一時はその存在意義すら危ぶまれたアーチトップギターが再び脚光を浴びました。

今でも、アーチトップギターは独特な渋いサウンドによりジャズギターとして絶大なる人気を誇っています。

その後、音楽業界にブルースやロックなどのジャンルが芽吹き、新しい時代へと移ろい行くにあたって、ギターとしての主役はアーチトップギターからハウリング耐性や演奏性に優れたレスポールなどのソリッドボディーエレキギターに渡ります。

しかし、今でもアーチトップギターはジャズギターとして絶大なる人気を誇っています。

一度は音量競争に敗れたものの、エレキギターとして生まれ変わり、ジャズギターとして存在価値を見出されたアーチトップギター。

フォークギターとエレキギターの成功の栄光に挟まれ日陰の存在ではありますが、ギターの歴史に大きな影響を与えた存在であることは間違いないでしょう。

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