Gibson Aシリアルの読み方と製造年代の見方 【アーティストシリアル】

2016年12月16日

Gibsonの高級ギターに採用されていたアーティストシリアル(Aシリアル)

ギブソンブランドロゴ

Gibsonのシリアルナンバーは混沌としている

Aシリアルナンバーは、1947年より1961年までの14年間ソリッドギターを除く高級ギターで使われたシリアルナンバーの方式です。

Aからはじまり、特に桁数は決まっておらずどんどん数字が増える形式のシリアルナンバーです。

そのほかのAから始まるシリアルナンバーも含め、Gibson シリアルナンバーを全体的にまとめた記事もあります。下記リンクよりご覧ください。

Aシリアルナンバーと製造年

このAシリアルナンバー、何も通し番号のような形式になっており、見方もなにもありません。

本ページにどのナンバーからどのナンバーまでが何年製であるか一覧を記しておきますので、照らし合わせてご確認ください。

なお、管理人所持の株式会社日本ギブソンより1982年に発行された書籍と米ギブソンのブルーブック資料とでは細かい数値が異なっており、どちらが正しいかは管理人にも判断がつきません。

やっぱり本家の方が信頼性高いような……

でもそもそも本家ギブソンがいい加減なのが混乱の元だし……

いやいやでもでも株式会社日本ギブソンによる書籍は編集が急だったとかで、誤字も多いし……

ギブソン自身、シリアルナンバーについてはきちんと記録を残していなかったり、重複したナンバーがあったりとグダグダ。

いずれにしてもさすがにもう既に半世紀以上のこと、多少のことは誤差として目をつぶるしかないのかもしれません。

1947年のAシリアルの開始ナンバーについては株式会社日本ギブソンによる資料ではA250としていますが、本家ギブソンのブルーブックではA100がスタートナンバーとしています。

なお、この時期の個体には工場製造管理番号(Factory Order Number、通称FON)も本体にスタンプで記載があり、そこからも製造年自体はわかりますが、Aシリアルナンバーだけである程度正確に年代の判別が可能なため、さほど重要視されていません。

株式会社日本ギブソン発行の書籍によるAシリアルナンバー

1947年製
A250 ~ A1216
1948年製
A1717 ~ A2615
1949年製
A2020 ~ A4276
1950年製
A4801 ~ A5857
1951年製
A7893 ~ A9218
1952年製
A9787 ~ A12287
1953年製
A13820 ~ A15750
1954年製
A16272 ~ A18617
1955年製
A20347 ~ A21778
1956年製
A22943 ~ A24583
1957年製
A24874 ~ A26729
1958年製
A26155 ~ A27671
1959年製
A32590 ~
1961年製
A35646 ~ A36455

ギブソン ブルーブックによるAシリアル ラストナンバー

1947年製
A1304(一部700 ~ 1000Sの表記の個体もあり)
1948年製
A2665(一部1100 ~ 3700Sの表記の個体もあり)
1949年製
A4413
1950年製
A6597
1951年製
A9419
1952年製
A12462
1953年製
A16101
1954年製
A18667
1955年製
A21909
1956年製
A24755
1957年製
A26819
1958年製
A28880
1959年製
A32284
1960年製
A35645
1961年製
A36147

株式会社日本ギブソンによる資料の方は1959年のラストナンバーと1960年の情報がありません。

著者自身書籍の中で「ギブソンのシリアルナンバーは非常に混沌としており、正確な製造年を知ることは困難」としています。

1959年のスタートナンバーであるA32590から1961年のラストナンバーA35646の間は1959年~1960年製であると推測はできますが、1957年と1958年のようにナンバーが前後している例もあります。

そもそも先述の通り、そもそもギブソンのいい加減なシリアルナンバー制度のためにどの資料でも正確性に疑問があるのでやはりある程度目安として扱うのがよいでしょう。

ちなみに、ラベルの色でもある程度製造年代を知ることができます。

このAから始まるシリアルナンバーがスタートした1947年より1955年の初め頃までは白いラベルで、1955年の初め頃以降はオレンジ色のラベルが使用されています。

(どちらも楕円形のラベル)

欠陥?迷走?のGibson Aシリアル

実はAから始まるシリアルナンバーは今回のアーティストシリアル以外にも、同じようにAから始まるシリアルナンバーや製造管理番号が使われており、混同されやすい点に注意が必要です。

例えば1970年代にもAから始まるシリアルナンバーが使われています。

しかし、1970年代のAシリアルナンバーは上記のアーティストシリアルナンバーと呼ばれるものとは異なりAの後に6桁の数字が続くもの。

アーティストシリアルナンバーは数字が最大でも5桁しかないので、Aの後に6桁の数字が続く場合は1947年~1961年製造ではなく1970年代のギターと知ることができます。

(1970年代のAシリアルについてはまた別途70年代の時にご紹介します)

また他にも頭に2Aと付くシリアルナンバーも存在していますが、これも今回のAシリアルとは全く無関係です。

アーティストシリアルナンバー 採用モデル

ES-5 / ES-175 / ES-300 / ES-335 / ES-345 / EC-350 / ES-355 / J-185 / J-200 / S-300 / S-400 / L-4 / L-5 / L-7 / L-12 / Byrdland

このアーティストシリアルが適用されるのは1947年~1961年に製造された上記のある程度高級なホロウボディーのギターのみ。

似た時期(1952年~1961年)のソリッドギターはまた別のシリアルナンバーの方式を採っています。

Gibson Aシリアルの見方と製造年代の調べ方 まとめ

Gibsonはその長い歴史の中、無計画とも思えるほど色々な形式のシリアルナンバーを採用してきました。

(Gibsonが無計画だったというよりは、必要に合わせてシリアルナンバーの形式を変えても需要が計画を超えるレベルで増えたために立ちゆかなかった面もあるかも)

そのため、ただモデルと販売期間、そのシリアルナンバーの付与時期を総合的に判断して製造年代を判断するしかありません。

かなり多岐にわたるため本サイトでもいくつかに分割してはおりますが、一通り整理してお送りする予定です。

古い楽器も含めギブソンのギターのシリアルナンバーについての理解を深め、その製造年代を知る一助になれば幸いです。