音名のイタリア読みとドイツ読みの使い分け

何故、イタリア読みとドイツ読みを両方使う?

色々な国の言葉での音名表記
以前、 –【超基礎知識】色々な音名表記 – で音名のイタリア読みと表記、ドイツ読みと表記など色々な表記方法についてお話ししました。

その中で、現代の日本では音程の名前はイタリア読みの『 ドレミファソラシド 』とドイツ読みの『 ツェー・デー・イー・エフ・ジー・アー・ハー 』(C-D-E-F-G-A-H)が一般的というお話がありましたが。

その時、記事書きながら

誰でもわかるドレミファソラシドがあるのに、なんでわざわざドイツ読みを使ってるんだろう…

と疑問が。

しかし、管理人ごときが考えてわかるはずもなく、とりあえずその疑問は捨て置いていたのですが、つい先日音大出身の元同僚と話す機会がありまして。

ふとそんな疑問を思い出した管理人

「 お前ら通ぶってるだけだろう 」

などと問い詰めたところ、予期しない答えが返ってきました。

別段通ぶってツェーとかデーとか言っているわけではなく、ドイツ読みとイタリア読みを両方使うのにはきちんとした理由と使い分けがあるというのです。

せっかくなので、今回はその使い分けについてお話しておきましょう。

使い分けは相対的な音程と絶対的な音程

普段から拙い文章で分かりにくいところ申し訳ないのですが、今回はなかなかややこしい話です。

よくわからなかったら申し訳ありません。先に謝罪しておきます。

結論から言うと、

・イタリア読み(ドレミファソラシド)はキーの楽器パート同士で話す時に使う。

・ドイツ読み(C-D-E-F-G-A-H)はオケ全体で話す時、絶対的な音程を指す時に使う。

という使い分けがなされています。

何故そうするかというと、楽器によっては楽譜上に示された ド の表記が、実音上必ずしも ド ではないからです。

オケの楽器ごとの調・楽譜事情

オケには管楽器や弦楽器も含め、色々な楽器が参加しています。

当然、パートごとに違う楽譜を見て演奏をするのですが、楽譜にはその楽器のキーに合わせわかりやすいように、『 ドレミファソラシド 』という実音ではなく『 ドレミファソラシド 』という音の並び、音階として実音を置き換えて考えるのです。

ザックリ例えると、とある楽器では『 ラシドレミファソラ 』という実音を、楽譜の表記上ではそれぞれ『 ドレミファソラシド 』という風に置き換えて表記をしたりする、ということです。

そして、オケでは基本的に楽譜を見ながら話すので、同じパートの人と話す時は置き換わった後の『 ドレミファソラシド 』と話します。

上記例えの楽器の場合は、「 ここのミの音がさ~ 」と言った場合、その部分で実際に出している音は ド なんです。

つまり、『 ドレミファソラシド 』と言った場合は、実音程としての『 ドレミファソラシド 』を指しているのではなく、曲や楽器の調によってそれぞれ違う音程の話をしているということ。

同じパートの人と話す時は楽でいいのですが、当然、他のキーの楽器の人と話す時に問題が出てしまいます。

調の異なる楽器の奏者と話がかみ合わない

例えばですが。

『 ラシドレミファソラ 』の実音を楽譜上『 ドレミファソラシド 』に置き換えた楽器を演奏するラシドくん

『 ミファソラシドレミ 』の実音を楽譜上『 ドレミファソラシド 』に置き換えた楽器を演奏すミファラくん

がいたとしましょう。

ある時、練習の合間にラシドくんミファラくんのところへやってきて、

『 ここのドの音、君らのパートの人たちみんなちょっと出だしが遅いって伝えて~ 』

と言ってきました。

が、この時ミファラくんラシドくんが言っているドが

・実音の ド のことなのか

ラシド君の楽譜上での ド、つまり実音 ラのことなのか

ミファラくんの楽譜に合わせて実音 ミをドと言ってくれたのか

3つの可能性があり、パッとわかりません。

ただでさえダメ出しされて腹が立つのに、言ってる意味がわからず更に腹が立ちます。

読んでてもややこしいですよね?

演奏者本人たちも結構ややこしいんだそうです。

そこでドイツ語読みの出番。

ドイツ語で音名を言った場合は、必ず実音を指す、という暗黙の了解になっているのだそう。

言うなれば、

ドイツ読みの『 C-D-E-F-G-A-H 』は絶対的に音程を指す共通言語。

イタリア読みの『 ドレミファソラシド 』は、楽器のキーに合わせた相対的な音程を指すパートごとのローカル言語。

として使い分けられているといったところ。

この例の場合は、ラシドくんがC(ツェー)とドイツ読みで言っていれば、ミファラくん

「 ああ、実音のドのことなんだな。じゃあ僕のパート譜上のこのミの部分のことだ 」

とわかるというわけです。

そして、ミファラくんは同じパートの人たちと譜面上のミのところを見ながら、

「 ラシドくんが言うにはここのミのところが音が~ 」

とイタリア読みで言います。

もちろんこの時同じパートの人たちにも「 C(ツェー)が~ 」と言っても通じますすが、見ている譜面上はミになっているので、みんないちいち「 Cって譜面上はなんだっけ。キーがこうだから… 」と脳内で変換しなければなりません。

同じパートで話す時は、楽譜上と同じミと言った方が分かりやすいのです。

まとめ

・イタリア読みの『 ドレミファソラシド 』は楽器・楽譜によって実音が相対的に変わる。

・ドイツ読みの『 C-D-E-F-G-A-H 』は絶対的にその音程を指す。

繰り返しではありますが、上記の通りです。

絶対的な音程と言うのは、C=ド D=レ E=ミ F=ファ G=ソ A=ラ B=シ の、ピアノの鍵盤を押した時の音です。

なお、今回情報を提供(というか居酒屋で雑談)してくれた音大出身の人によると、多分この使い分けは日本独自の習慣なのではないか、とのこと。

その人、一応音大時代に一度演奏旅行でウィーンだかどこかへは行ったみたいですが、留学経験はないし、確かなことではありませんけども…

一般の人にはなかなか馴染みのないドイツ読みですが、楽器業界では業界用語として隠語になったり、音楽業界では色々な楽器をやる人々の共通言語として使われたり色々活躍しています。

以前、その詳しい読み方や表記法などについて記事にしています。

すでにお読みになった方はいいのですが、楽器業界に興味がある方でまだお読みでないという方は、下記関連記事のリンクからご覧いただけます。

ぜひご覧になって憶えておいてくださいね。

 

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