【フルートの基礎知識】カバードキイとリングキイ

フルートのキイの仕様選び

キイの並びやらEメカの有無やら、とかく選択肢の多いフルートですが、キイ自体の仕様もまた、フルート選びにおいて大事な要素の一つです。

フルートのキイの仕様にはキイ自体が穴になっており、奏者自身の指で塞がなければならないリングキイと、特に穴はなくそのまま塞がっているカバードキイの二種類あります。

フルート-リングキイとカバードキイ

リングキイ(上)とカバードキイ(下)

今回は、このリングキイカバードキイについて解説します。

なお、両者の音質の違いは演奏者自身は顕著に感じらますが、実際聴衆が音だけ聴いてカバードキイ / リングキイのどちらかが分かるかと言うと「 リングキイ特有のテクニックを使わない限りわからない 」と言う意見が大半。

音質についてはあまり神経質にならず、演奏性などその他の面を重視した方が良いでしょう。

カバードキイ

音質としては、明るく抜けの良いリングキイに比べ柔らかく暖かみのあるサウンドです。

近年ではドイツの奏者でもリングキイを使用する方も増えていますが、かつてはドイツの奏者の多くがカバードキイを使用していたため、プラトーシステム、ジャーマンスタイルなどと呼ばれることもあります。

キイの並びはオフセットキイとの組み合わせが一般的。

カバードキイのメリット

・音漏れがしづらいので音が安定しやすい。

カバードキイのメリットはこれに尽きるでしょう。

要は、多少フォームが崩れていたり押さえ方がおおざっぱでもオッケーってことですね。

パッドがトーンホールについて塞がりさえすればOKなので。

これは初心者にはもちろんのこと、手の小さい方・指の短い方にも大きな恩恵をもたらせます。

他にもリングキイでは極端に乾燥していたり、アカギレになっているなど指先の状態が悪いと思わぬ息漏れの原因になってしまうこともありますが、カバードキイであればそういった心配も不要です。

カバードキイのデメリット

・細かいピッチの調整などができないため、リングキイに比べ細かいニュアンスの表現に制限がある。

・押さえ方がアバウトになりがちなため、リングキイよりもタンポ交換時期が早い傾向がある。

カバードキイの場合、キイの押さえ方が多少アバウトでも音は鳴ってくれるため、キチンと真っ直ぐに押さえないクセがある人だとタンポの消耗が偏ってしまい、交換時期が早くなる傾向があります。

押さえ方の問題なのできちんと真っ直ぐ押さえていれば問題はないのですが、実際に楽器店に持ち込まれるフルートではカバードキイの方がリングキイに比べタンポの交換頻度が高めです。

リングキイ

特定のキイに直径5㎜程度の穴が空いたタイプです。

音抜けがよく、軽やかで明るい音色と、素直なレスポンスが特徴。

自身の指先で穴を塞ぎつつキイを押さえる必要があるため、カバードキイよりもキレイなフォームが求められます。

リングキイ自体がフランス発祥でリングキイフルートの奏者が多かったということもあり、フレンチスタイルなどとも呼ばれます。

インラインキイとの組み合わせが一般的。

リングキイのメリット

・指をずらして微妙に開けることによりピッチを調整することも可能。

・キイを塞いでいる指先に当たる息の感触で、吹き加減を確かめることができる。

・真っ直ぐ押さえなければ音が不安定になるため、タンポが偏った消耗をせず交換頻度が少ない傾向がある。

ピッチの調整ができると言う点は、表現の幅を広げる上で非常に大きなメリットです。

これによりホロートーン(半音以下の微分音)なども自由に出せますし、音程がなめらかに変化するグリッサンドなど様々なテクニックが使え、演奏や表現の幅がかなり広がります。

また、指先に息が当たる感触というのもなかなかバカにできないメリットの一つ。

「 音を聴けばいいんじゃ? 」と思う方もいらっしゃると思いますが、ソロならともかくオケなど多人数での演奏の場合はそうもいきません。

オケでは周りで同じパートの楽器や他の楽器がガンガン鳴っていて自分吹いている音がよく聴こえない状況はよくあります。

だからと言って指揮者の意に反して大きな音で吹くわけにもいきません。

こういう時、指先に当たる息の感触が大事な情報源になるのです。

リングキイのデメリット

・指できっちり塞がないと息がもれてしまい、音が不安定になるため、常にキレイなフォームと技術力が求められる。

・フォームがキレイでも、アカギレなど指先のコンディションが悪いと息が漏れてしまうことがある。

ピッチの微調整ができるということはメリットですが、反面キチンとコントロールしなければならないということにもなります。

そのため、繊細な指使いが必要になります。

初心者に限らず、熟練した方でも早いパッセージでキッチリ穴を塞ぎきれず音程がズレてしまう、ということも。

その豊かな表現力の代償とも言えるでしょう。

このデメリットに関しては、初心者・上級者ともに練習して克服していくしかありません。

リングキイを塞ぐプラグ

メーカー・ブランドによってリングキイプラグ / リングキイパッチ / リングキイゴム などなどさまざまな呼び名はありますが、リングキイの孔に詰めて塞ぐパーツも存在しています。

ただ、キイプラグを使ってカバードキイ化することはあまりオススメできません。

プラグはあくまでも補助的なもので、一部、特に押さえづらい左手・右手の薬指のキイによく使われます。

こうした補助として使う分には良いのですが、リングキイはキイの孔が空いている前提に造られているため、プラグを使うと音程や音質が著しく悪くなってしまいます。

全部完全に塞いでカバードキイとして使うのであれば、最初からカバードキイのフルートを使った方が良い音を出すことができます。

なお、リングキイの孔の径はメーカーによって微妙違うため、キイプラグも径や厚み、材質がみな違います。

基本的に別のメーカーの物で共通して使えるものではありませんので、注意が必要です。

まとめ

・カバードキイはキイの上部分が塞がっており、押さえやすく音も安定しあしゅい。初心者向きと言える。

・リングキイはキイに穴が空いているためキッチリと押さえなければならず、吹きこなすのに熟練を要するが、細かい表現や様々な奏法が可能。

という特性上、どうしても

・カバードキイは押さえやすいから初心者向き

・リングキイは表現の幅が広い反面扱いが難しいから上級者向き

というイメージがつきまいますが、別段そういう決まりがあるわけではありません。

確かにリングキイ持っている人の方が上手そうに見えるというのはイメージとしてはありますが…

初心者の方でも大いにリングキイを使っていただいて問題ありませんし、逆に上級者でもカバードキイを使ってはいけないなんてことはありません。

実際に著名なプロフルート奏者でもカバードキイを使用されている方もいらっしゃいます。

キイの仕様については好みの世界なので、自分が求める音と演奏性を考慮した上で決めましょう。

もちろん、フルート教室に通ったり教えてくれる方がいらっしゃる場合は、その方に助言を求めるのも良いでしょう。

 

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