【テレキャスターの歴史】 エスクワイヤーとテレキャスター

2016年11月25日

エスクワイヤーとテレキャスターの違い

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全てのFenderエレキギターの先祖 エスクワイヤー(esquire)

以前の記事 " これだけは憶えておいた方がいい主なテレキャスターの種類 " をご覧になった方であればもうすでにご存じかと思いますが……

エスクワイヤーとテレキャスターな最も大きな違いは、ピックアップの数です。

多少見た目やスタイルが違ったり、年代やバリエーションによって木材が異なることもありますが、基本仕様はほぼ同じで大した違いはありません。

エスクワイヤーとテレキャスターの歴史

元々、テレキャスターの原型は1949年頃に発売されたエスクワイヤー(esquire)です。

ちなみに『 世界初のエレキギター 』はグレッチのフライングパンという通説は有名。

しかし、初めて商品として実用化して売りだされ、普及されたエレキギターはエスクワイヤーだと言われています。

(諸説あり)

テレキャスターの始祖というか、ストラトキャスターをはじめとしたFender社の全てのエレキギターの祖先ともいえます。

なお、実は発売当初エクスワイヤーには1ピックアップだけでなく2ピックアップのモデルもあり、両方ともエスクワイヤーと呼ばれていました。

その後1950年頃より2ピックアップはブロードキャスター(後のテレキャスター)にモデル名が変更に。

そのため、今では1ピックアップのモデルのみをエクスワイヤーと呼ぶのが一派的です。

ちなみに、エスクワイヤーの木材として1950年代のフェンダーギターらしくアッシュが使われたものがほとんど。

そのおかげでエスクワイヤー=アッシュにバタースコッチブロンド、もしくは2トーンサンバーストというイメージがあるかと思いますが、実は超初期の個体は価格の安いパイン材をボディー材として使用しています。

パイン材の木目を隠すために真っ黒な塗装がなされていた模様です。

その他バリエーションとして、1969年頃にテレキャスターカスタム同様バインディングを施したエスクワイヤーカスタムが発売されていますが、あまり評判がよくなく、1970年には生産完了になっています。

(板っきれだとか便座だとか酷評されたそう)

エスクワイヤーの特徴

発売当初はトラスロッドがなかった!?

ネックを反りから守るためにネックにトラスロッドを仕込むこと自体は、エスクワイヤーが発売される頃にはすでに確立された技術でした。

しかし、エスクワイヤーは発売当初、レオ・フェンダー氏の「 ネック材に硬いメイプル使っているのだから反らない 」との判断の元、トラスロッドを埋めていませんでした

その後FENDER社でマーケティングを担当していたドン・ランドール氏のその脆弱性への提言により、1950年の10月頃より埋めるように。

(ちなみにストラトキャスターの名付け親でもあります)

そんなわけで、初期モデルにはフェンダーのメイプル指板のネックグリップ今でもみられるウォルナットの埋め木のライン(通称スカンクストライプ)がありません。

3Wayセレクタースイッチとコントロール

エスクワイヤーは1ピックアップながら一般的なテレキャスターと同じく3Wayセレクタースイッチを搭載しています。

このスイッチはピックアップセレクトではなく、トーンコントロールを行うためのスイッチで、位置によってエスクワイヤーのトーンの効き方が変わります。

リア側でトーン回路カット / センターで通常 / フロント側でトーン常時0状態

スイッチをリア側にしているとトーン回路はスルーされ、ボリュームツマミのみが効く状態に。

トーンを10にしている状態に近いといえば近いのですが、実は高音域が微妙にフィルターにかかって削れてしまうことがあります。

なので、トーン回路をカットすることでよりP.U本来の音の信号を楽しめると言えます。

(どちらかいい音なのかは別として)

センターは通常通りトーンが効く状態、フロント側の時は強制的にトーンを0に絞っている状態になります。

当然、セレクタースイッチがセンター位置でない場合はトーンツマミがどの位置でも音には影響しません。

その他、1ボリューム / 1トーンである点は2ピックアップのテレキャスターと同じです。

ピックアップは1つながら、曲中でトーンを替えられるのはなかなか面白い。

この点がエスクワイヤーの最大の特徴といえるでしょう。

テレキャスターの歴史 エスクワイヤーまとめ

もちろん発売当時のエスクワイヤーなんかは今じゃヴィンテージギターとして、非常に高い価格で取引されています

しかし、その後Fenderの長い歴史の中で幾度となくリイシューモデルが出たり再販されており、まだ意外とよく見かけます。

実用性でいえばやはり2ピックアップのテレキャスターやストラトキャスターに劣りますが、(実用化された)『 世界初のエレキギター 』にはやはりロマンを感じずにはいられない、魅力的なギターです。