ドラムの基礎知識 ドラムセットの構成と各部名称

2015年4月28日

ドラムセット

ドラムセット

一般的なドラムセット(画像はPearl社のもの)

元々ドラムは、マーチングやオーケストラなどでバスドラム(大太鼓)の担当が一人、シンバルの担当が一人、といった具合に別々に演奏していました。

そこに、「 行けるんじゃね? 」的なノリ(だったかどうかはわからないけど)バスドラムにシンバルを取り付けてみたり、足でマレットを操作するキックペダル(フットペダル)を作ってみたり……

さまざまな工夫と改良を施して出来上がったのが、複数のドラムとシンバルの前に演奏者が座って、両手両足を駆使して叩くという今の忙しいスタイルのドラムセットです。

今回は、このドラムセットの基礎知識としてそれぞれの太鼓とシンバルについてザックリと解説します。

ドラムセットの構成と各部名称

ドラムセットの配置と各部名称

ドラムセットを上から見たセッティング図。手抜きでスミマセン。

まずはザックリとドラムスのセッティング図

演奏ジャンルやスタイル、奏者の好みによってもセッティングは変わりますが、これが最もスタンダードなセッティングで、レンタルスタジオやライブハウス等に置いてあるドラムセットは大抵、このようなセッティングになっています。

スネアドラム

スネアドラム

スネアドラム。金属・木製シェルなどの素材やサイズのバリエーションが多い。

スネアドラムは特に使用頻度が高く、ドラムセットの中でも重要視される通称3点セットの一員です。

座った時に開いた左足と右足の間にセッティングするのが基本。

構造的には他の太鼓とほぼ同じですが、スネアサイド(底面)にかけられたスナッピーがもたらせるアタック感が強く通りの良い独特なサウンドが特徴。

ビートの区切りをつけるために用いるのが基本的な使い方で、他にもロールなどにも使われます。

文字で表すのはちょっと難しいところではありますが、ズンズンチャ、ズンズンチャのチャの音です。

スネアドラムの一例

スネアドラムの一例。

ちなみに、タムなど他の太鼓は大抵ドラムセットの一員としてセット販売されているのみで、バラではあまり売られていません。

が、スネアドラムは用途でもさうドラムセットの要になるためドラマーが最もこだわる太鼓の一つで、こだわる方がかなり多いです。

スネアドラムは各社胴の浅いものから深いもの、径の小さいものから大きい物、素材も様々な木材から金属製まで多彩で豊富なバリエーションでラインナップしています。

ハイハットシンバル

ハイハットシンバル_セイビアンAA_ROCK_HATS-l

ハイハットは専用のスタンドに小口径のシンバルを二枚向かい合わせにセットする。

ハイハットシンバルもスネア同様ドラムセット三点セットの一員。

ビートを刻むのに用いられるシンバルで、ドラマーになった暁には最も多く叩く楽器になることでしょう。

専用のスタンドに小口径のシンバルを二枚向かい合わせに重ねた構造で、下側のシンバルは固定され、上側のシンバルはスタンドのペダルの操作で上下する構造です。

これによってハイハットのオープン / クローズがコントロールできます。

ペダルを左足で踏むため、ハイハットは演奏者の左足側に置くのが基本です。

バスドラム

バスドラム

ドラムセットの土台となるバスドラム。マレットがついたドラムペダルを踏んで演奏する。

バスドラムはドラムセットの中でも最低音を担当する、三点セットのうちの一員です。

ズンズンチャ、ズンズンチャのリズムで言うとズンの部分です。

演奏者側にドラムペダル(フットペダル・キックペダルとも)を取り付け、右足で踏んで演奏します。

そのままではブワブワとした締まりのない響きになってしまうため、胴の中に吸音材を入れてサステインをなくし、ドッ、ドッというキレのいい音に仕上げるのが一般的。

吸音材は専用のものも販売されていますが、毛布などでも代用可能で、その質によっても音色が変わるという、なかなか奥の深さがあります。

タムタム(ハイタム・ロータム)

タムタム(ロータム・ハイタム)

タムタム兄弟(ロータム・ハイタム)

通称タムタムと呼ばれる兄弟太鼓。バスドラムの上部に取り付けられます。

3点セットに比べ使用頻度は少ないのですが、曲中にアクセントをつけるのに使われます。

一般的には演奏者から見て左側にハイタム、右側にロータムをつけ、奏者の右側に置いたフロアタムに向かって徐々に音が低くなるようにセッティングされます。

片方ははずしてハイタム(もしくはロータム)のみにし、右側を開けてそこにライドシンバルをつけるシンプルなセッティングや、逆に径の違うタムをたくさん用意し、使い分けながら演奏するスタイルもあります。

フロアタム

フロアタム

バスドラムに次いでの低音域を担当する大き目の口径と深めの胴を持った太鼓です。

胴の横に取り付けられた足によって、上向きの状態で演奏者を挟んでスネアの反対側(演奏者の右側)に置かれます。

クラッシュシンバル

クラッシュシンバル_セイビアンAAX_ROCK_CRASH-l

その名の通り、クラッシュ(衝突)した時のようなカシャーンという音がするシンバル。

2枚置くセッティングが一般的で、左右に径の違うシンバルを置いて使い分けます。

サイズは奏者から見て左側が16インチ、右側が18インチ程度が一般的。

ライドシンバル

ライドシンバル-セイビアンAA_MEDIUM_RIDE_l

ライドシンバルの名前の由来は “ビートを載せる" という意味の “ライド・ビート" から来ており、その名の通り主にビートを刻むために使われるシンバルです。

クラッシュシンバルのようにエッジを叩いて音を出すよりも、上面を叩いてアクセントの効いた硬質な音を出す使い方が基本。

ビートを刻むのはハイハットが主役ではありますが、曲中の展開によってライドを使い分けます。

サイズは20インチ程度とクラッシュシンバルよりも大きめ。

奏者の右側、フロアタムの上にかかるような位置に置くのが一般的ですが、バスドラム上のタムタムの片方を取ってその上に付けることも。

まとめ

ドラムセット・ドラムスのセッティングはスタンドに取り付けられさえすればどんな打楽器でも対応可能なので自由度が高く、また演奏者の体格や好みによって配置を変えるため、セッティングにはこれといって正解はありません。

が、今回解説したスネア・バスドラム・ハイハットシンバル・タムタム・フロアタム・クラッシュシンバル・ライドシンバルは最低限のベーシックなセッティングとしてライブハウスやレンタルスタジオに常備されています。

ドラム初心者も楽器店の店員になりたいという方も、最低限今回紹介したものくらいは憶えておくと良いでしょう。