クラシックギター弦の素材一覧と特徴・違い

2015年7月24日

色々あるクラシックギター弦の種類

色々な種類のクラシックギター弦

色々な種類のクラシックギター弦

エレキギターや鉄弦のアコギに比べれば商品のバリエーションは少ないクラシックギター弦ですが、それでも使われる素材にはいくつか種類があります。

クラシックギター弦の場合、演奏性や音色に最も大きな影響を与える要因としてテンションが挙げられますが、弦の素材も同じく演奏性や音色にかなり大きな影響を与えてしいます。

今回は、このクラシックギター弦に使われる素材について解説します。

ナイロン弦

ナイロン弦は安価で音色のバランスがよく、耐久性にも優れている特徴があり、クラシックギターでは最も一般的に使われる弦の素材です。

クラシックギター弦だけでなくウクレレの弦でも最もよく使われています。

高音弦の1弦~3弦は一本で成形されたナイロンを弦として使用し、低音弦の4弦~6弦には細いナイロンの束に金属の巻き線を巻いた巻き弦を使用するのが一般的。

実はナイロンを断面が真円になるよう細長く成形することは技術的に難しく、この辺りはメーカーの腕の見せ所。

各社の技術力にもよりますが、同じメーカーの同じ商品でも多少バラつきがあったりします。

フロロカーボン弦

釣りをやっている方には特に馴染み深いのではないでしょうか。

フロロカーボンはもともと釣り糸に使われていた素材で、一部の人々がこれを切ってウクレレに張ったのが、弦のして使われた始まり。

そこに目をWorthStrings社がウクレレ弦として商品化して好評を博し、最近ではクラシック弦でもチラホラ見かけるようになりました。

ダダリオのFFシリーズがフロロカーボン弦となっています。(EJ45FFなど)

ナイロンよりややテンションが高めで、音色もシャープに仕上がるイメージです。

ナイロン弦の場合高音弦が太くなりがちで、その分音程が甘くなり、音もぼやけがちです。(特に太い3弦で顕著)

しかしフロロカーボンはナイロンよりも比重が大きい分細くすることができ、この音のぼやけやピッチの甘さを解消しています。

クラシックギターでよりシャープでハッキリとした音が欲しい時はフロロカーボン弦を試してみると良いでしょう。

ガット弦

ガットとは動物の腸のことを指し、ガット弦の場合羊の腸を使います。

もともとクラシックギターはバイオリン同様本物のガットを使っていました。

最近はガットはほとんど使われないためあまり言わなくなりましたが、クラシックギターがガットギターなんて言われる由来ですね。

音はナイロンやフロロカーボンでは出せない柔らかく、渋みのある倍音を持った音色が特徴的

しかし本物の羊の腸を使っているため非常にデリケート。

温度・湿度変化に弱く、耐久性がないためすぐ切れるなど寿命が短い上に、個体差が大きくチューニングを合わせにくいなどかなり扱いづらいのが難点です。

戦後耐久性が高く扱いやすいナイロン弦が普及したことにより、本物のガットはほとんど使われなくなりました。

今では作っているメーカーも少なく高価で、検疫上の問題から動物の病気等が流行った場合など、輸入が規制される場合もあり、入手が困難な面もあります。

昔はガット弦しかありませんでしたから、当然楽曲も全てガット弦を張った時のギターの音色を前提に作っています。

そのため古い楽曲を演奏する方ほどガット弦の音を欲しがる方が多いですね。

ナイルガット弦

一時流行った、ガットの音色を再現しつつその弱点を克服することを目指した疑似ガット弦です。

イタリアの弦のブランドAquila(アクィーラ)が製造・販売しています。

「 なんてことでしょう、ガット音そのまま! 」なんてことはありませんが、ガットともナイロンともまた違ったキャラクターで面白いところ。

全体的にクリアな音色で音に伸びが感じられます。

弦自体は乳白色で、クラシックギターで主流のクリアナイロンに比べ視認性が良いのも特徴です。

クラシックギター弦の素材まとめ

・クラシックギター弦として最も一般的なナイロン弦は、音色のバランスがよく安価で、耐久性に優れている。

・ナイロンの他、フロロカーボンや疑似ガット弦ともいえるナイルガットなどの素材もある。

・昔使われていた本物の羊の腸を使ったガット弦は寿命が短く高価な上、入手しにくい。

特にこだわりがなければ最も一般的で安価、クセのないナイロン弦が無難でしょう。

しかし、積極的に音を変えたい時、弦の素材もまた出音に大きく影響する要因の一つです。

弦のテンションと合わせてぜひ色々と研究してみてください。