木材学 アコースティックギターに使われる材と構成

アコースティックギターに使われる木材について

ホスコアコースティックギター組み立てキット

アコースティックギターのパーツ(画像はホスコさんのアコギ組み立てキット)

今回は、アコースティックギターのボディー各所の構造と、よく使われる木材の特性を解説します。

ちなみに、今回のアコースティックギターとは鉄弦のフォークギター、ナイロン弦のクラシックギター、フラメンコギターのようなフラットトップギターを指します。

フルアコースティックギターやセミアコースティックギターなど、アーチドトップギターは含みません。

アコースティックギターボディーの構造と木材

アコースティックギターのボディーはボディートップ・サイド・バックの3つのパートで構成されています。

この3つの板を組み合わせて箱状にし、弦の振動を中の空洞で共鳴させ、音量を増幅するのがアコースティックギターのボディーの構造と役割です。

これらの板を薄くれすればそれだけ軽くなり、鳴りやすくなると言われていますが、強度の問題が出てしまいます。

逆に、強度ばかり求めて厚みを持たせてまうと本体が重くなり、鳴りも鈍重になってしまいます。

厚みはメーカーやモデルによっても異なりますが、大抵2mm~4mm程度の厚みが一般的です。

ボディートップ

MartinD-28ボディートップ

フォークギターの王様、Martin社のD-28

トップ板 / 表板ともいわれます。構えた時に観客に見える側ですね。

トップ材の裏にはブレイシング(力木)と呼ばれる補強のための木材が裏から貼られており、このブレイシングの形状などによっても音色が変わります。

産地は様々ですが、鉄弦のアコースティックギター、いわゆるフォークギターの場合はスプルースが主に使用されます。

スプルースは日本で言う松の仲間の白木です。

ギブソンなど一部ブランドでは杢の出たフレームメイプルなどを使用したり、ボディーサイド・バックにあわせてマホガニーやローズウッドを使用するモデルもありますが、アコースティックギターの9割以上はトップ材がスプルースと思って間違いないくらい、スプルースが多く使用されています。

一方、ナイロン弦のクラシックギターやフラメンコギターではスプルースだけでなく、シダーと呼ばれる木材もよく使われます。

日本で言う杉の仲間で、セダーとも呼ばれます。(表記上はCedar)

スプルースに比べ少し赤みがかった濃い色と暖かみのあるサウンドが特徴です。

ボディートップにはブリッジやホールがあり、最も早く弦の振動が伝わるため、ボディートップだけでも単板(ベニヤ状ではない一枚板)にすると音色が格段に良くなります。

そのため、サイドやバックが合板にしてコストを抑えつつ、トップは単板というモデルも一般的です。

単板・合板のことやクラシックギターのボディー材について詳しくは、本記事末尾にある関連記事からご覧いただけます。

ぜひご覧になってください。

ボディーバック

アコースティックギターボディーバック

画像はローズウッド2ピースバック

トップに伝わった振動をボディー内で跳ね返し、反響させる重要な役割を持っています。

モデルによりますが、真っ平らではなく、軽くふくらんでいるのが一般的。

(この膨らんだボディーバックをラウンドバックと呼びます)

ちなみに、ボディーバックにも力木が入っており、これはボディートップのブレイシングに対しバスバーと呼びます。

木材を1枚板をまるまる使ってボディーバックにすることは少なく、画像の様に真ん中で2分割した2ピースバックや3分割した3ピースバックが主流です。

アコギのボディーバックに使われる木材

バック材には主にローズウッドかマホガニーが使用されてします。

ローズウッドはマホガニーに比べ重さがあり、低音が出やすいのが特徴

反対に、マホガニーは軽快で明るめのサウンドが特徴です。

メイプルやハワイアンコアも使用されますが、それほど一般的ではありません。

特にハワイアンコアはハワイで伐採・輸出が制限されており、アコギではあまり見かけなくなりました。

ヤマハのFG720、FS720などエントリークラスのフォークギターはコスト削減のためか、マホガニーの代用材としてナトー(オクメという材が使われることも有り)という材が使用されることもあります。

ナトーは外観上はマホガニーよりも明るい色をしていますが、音響的にはマホガニーに近いというもの。

なお、ボディーバックには後述のボディーサイドと同じ材を使用するのが通例です。

ボディーサイド

アコースティックギターボディーサイド

アコースティックギターのボディーサイド。

音響的に言えばボディートップ材・バック材に比べれば影響は少ないと言えば少ないのですが、それでも立派なボディー材。

アコースティックギターのトップ材とバック材をつなぎ、美しいボディーライン形成する役割を持った場所です。

割れない様に水分を加えつつ、熱を当てて曲げてあのカーブを成形した二枚の板を左右対称に並べ、ボディーエンドの部分とネックの接合部で貼り合わせる手法が一般的にとられています。

ボディーバックに使われる木材

ボディーサイドにはボディーバックに使われた木材と同じ材が使用されるのが一般的です。

なので、よく使われる木材もボディーバックと同じです。

音響特性についてもボディーバックの項を参照してください。

ネック・指板材

一部例外を除き、ほとんどのアコースティックギターのネックにはマホガニー材が使用されています。

指板に使われる木材はローズウッドが最も一般的で、次点にエボニー。

指板やネック材にメイプルを使うことはないとは言いませんが、あまり一般的ではありません。

ローズウッドは供給が安定しているインド産のインディアンローズが主流で、高級な機種になるとマダカスカルローズウッドなどローズウッドの中でも高級な品種や、エボニーが使用されます。

各指板材の特性について詳しくは、下記URLよりどうぞ。

まとめ

・アコギはボディートップ・サイド・バックからなるボディーとネックとで構成されている。

・ボディートップにはスプルース、サイド&バックにはローズウッドかマホガニー、という組み合わせが主流

・サイド&バック材がローズウッドの場合は低音が強調された重厚な音に仕上がる。

・サイド&バック材がマホガニーの場合は明るめの軽快なサウンドに仕上がる。

・ネックにはマホガニーネック+ローズウッド指板orエボニー指板が最も一般的。

アコースティックギターの勉強をしたい方は、最低でもこのまとめに書いてある憶えてきましょう。

アコギを扱う楽器店のスタッフであればこれでも最低限の基礎知識の内だと思ってください。

特に、材はアコースティックギターのシェイプ・サイズと並んで、もしくはそれ以上にこだわる方の多いポイントです。

本記事では軽くしか触れておりませんが、もっと深く突っ込んだ記事もこれより増やしていきますので、是非理解を深めてください。

なお、木材の種類は同じでも、その木材の構造によってサウンドがまた変わります。

合板と単板というものですね。これまたアコギを語る上では欠かせない要素。

下記関連記事にリンクがありますので、こちらもぜひ。

 

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Comment

  1. 原田宜幸 より:

    丁寧な説明ありがとうございます。
    参考にさせて頂きます。
    僭越ながら、ボディTOP板の説明の時の写真の下に「フォークギターの王様、Martin社のD-28」と記載されていますが、バックのブレイシングが斜めに2本入っております。
    Martin D-35とお見受けします。
    勘違いされる方もおられると思います。
    参考まで。

    • canned-seachick より:

      原田様
      ご指摘頂きありがとうございます。
      使う画像を間違ってしまったおりました…
      全く気付かずお恥ずかしい限りです。
      さっそく修正させて頂きました。
      これからもどうぞよろしくお願いします。
      ありがとうございました。

  2. 【トラックバック】[…] >>33セミホロウやとたぶんバックの材は割と音に直結してくる気はするで定番やとマホガニーあたりが定番やろかちょろっと木材学のページ載せとくわhttp://www.naru-gakki.com/egeb-bodymaterial/http://www.naru-gakki.com/egeb-bodymaterial-maniac/http://www.naru-gakki.com/acoustics-of-woodmaterial/http://www.naru-gakki.com/acousticguitar-material/ […]

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